野球アカデミー来春開校 西村前ロッテ監督に聞く


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「沖縄に恩返しがしたい」と話す西村徳文氏=29日、那覇市天久の琉球新報社

◆「沖縄から上目指す」 受け皿つくり 夢育む
 プロ野球選手やコーチ、トレーナーなどを育成する「JSLAベースボールアカデミー」が2015年4月から浦添市に開校するのを前に、理事長兼総監督を務める前千葉ロッテマリーンズ監督の西村徳文氏が開校準備などのため、来県した。29日に琉球新報社を訪れた西村氏に、アカデミー開設への思いを聞いた。
(聞き手・荒井良平)

 ―沖縄にアカデミーを開校する理由は。
 「沖縄でたくさんのプロ野球の球団がキャンプしており、野球熱は日本一高いと思う。しかし(プロや社会人など)上で野球を目指そうとしてもそこから漏れてしまう選手がたくさんいる。そういう人たちの役に立てればという思いがある。沖縄にはプロ野球界もお世話になっている。(ロッテ時代は)石垣島でキャンプし、本島でもオープン戦をさせていただいていた。その恩返しというのもある」
 ―高校野球の後、県内で硬式野球をやる場は限られている。
 「そこ(高校)で野球が終わるのは寂しいこと。こういう受け皿があることで、大学や社会人野球に進めなくても、違う所があるという希望を与えられる。アカデミーに入って技術やそれ以外のことを勉強すれば、そこからでも上にいけるということを示したい」
 ―沖縄の選手の印象は。
 「ちょっとのんびりしてるが、それがいいところでもある。相手を思いやれて、そこからチームワークができてくる。指導ではなぜ駄目か、なぜ失敗したのかをしっかり理解させたい。上から言われたことに不満を持ったままやっても、いい結果には結び付かない。お互い、思ったことは何でも言いながらその場で解決していくことが必要だと思う」
 ―どういうことを教えていきたいか。
 「これまでの経験の中で『野球だけでは駄目だ』と思っていた。アカデミーでは(生理学や栄養学など)さまざまな知識も身に付けられる。野球の技術に加えて人間教育をしっかりしていきたい。野球だけだと、けがなどで挫折してしまった時にそこで終わってしまう。挫折しても違う方向性に行ける可能性があるというのが他にない、いいところだと思う。野球は夢のあるスポーツ。生徒と一緒に野球をやりながら伝えていきたい」
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 同アカデミーは10月5、25日に学校説明会を開く。26日にはセレクションを行う。問い合わせは同アカデミー(電話)098(943)8749。
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 にしむら・のりふみ 1960年、宮崎県出身。福島高、鹿児島鉄道管理局を経て82年にドラフト5位でロッテオリオンズ(当時)へ入団。首位打者、盗塁王などのタイトルを獲得し97年現役引退。2010年千葉ロッテの監督に就任し、同年チームを日本一に導いた。