銘苅淳のハンドボール魂 fromハンガリー(2)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ハンガリーでの試合風景。会場をたくさんの観客が埋め、選手と一体となって盛り上がる

<競技事情>地域一つに 文化成熟
 こちらはすっかり秋らしくなってきました。今回はハンガリーのハンドボール事情をお伝えします。
 ハンガリーは人口1千万人に満たない国ですが、スポーツがとても盛んです。ロンドン五輪での金メダル獲得数は日本を上回るスポーツ王国です。海のない国なのですが、面白いことに水に関するスポーツが盛んで、水球やカヌー、カヤックなどは世界トップクラスです。一方のハンドボールも、五輪や世界選手権で優勝とまではいかなくとも、ベスト8以上の成績をコンスタントに残しています。

 ハンドボールは9月~翌年5月がシーズンです。12チームが所属するトップリーグとその下部の2~4部リーグがあり、それぞれが東西に分かれてリーグ戦を戦います。ホームアンドアウェー方式で各チーム2回戦を行った後、順位決定の試合があるため、日本のリーグに比べて試合数が多く期間も長いです。
 普段の練習は午前と午後と1日2回が基本です。週末は試合ですが、1週間に2試合の時もあります。ハンドボールが仕事なので、生活の中心は日々の練習と試合に向けての準備になります。
 この国に来て驚いたことがあります。たとえ練習試合でも審判が呼ばれ、地域の人も応援に来てくれるんです。子どもからお年寄りまで大きな声で地域のチームを応援します。応援団のようなものもあり、太鼓を鳴らすなどして声援を送ります。コートで監督の声が聞こえないこともあるくらいです。得点した時は会場中が熱狂し、最高に気分が高揚します。日本のような立派な体育館ではありませんが、観客と選手の距離が近く一体感があります。選手と観客、レフェリーや運営側の人―。みんなで競技をしている感じです。ハンドボールは生活の一部で、文化として成立しているのだと思います。日本でも多くのスポーツが文化として捉えられるといいな、と感じています。
 (隔週火曜掲載。次回は10月14日)
    ◇   ◇
 連載を読んでの感想や銘苅さんへのメッセージ、質問をお寄せください。ファクスは098(861)3980。電子メールはundou@ryukyushimpo.co.jp