第64回県高校野球秋季大会最終日は5日、沖縄セルラースタジアム那覇で決勝があり、中部商が糸満を3―2で下し、9年ぶり4度目の優勝を飾った。中部商は同点の九回1死二、三塁からスクイズで勝ち越しに成功。2投手の継投で相手の反撃を振り切った。
両校は来春の選抜大会出場の参考資料となる九州大会(25~30日・福岡県)に出場する。
◆我慢重ね 土壇場“一撃”
「やっぱり決勝だな、楽しくなってきたな。30分後には優勝していることをイメージしよう」。中部商ベンチに宮城隼人監督の声が飛ぶ。2点差を追い付かれて迎えた最終九回の攻撃。中部商ナインには勝利しか見えていなかった。
運も味方につけた。1死二塁で石川清将の飛球はアウトに見えたが、強風に戻されて右翼手のグラブをかすめて落ちた。これで1死二、三塁。当然、相手バッテリーはスクイズを警戒した。だが打席の知名慎也は「自分の仕事という自信があった」と5球目をきっちりバントで転がす。三走の知念琢朗は、捕手が腰を上げないのを見て「スクイズ外しはない。知名がきっと決める」と迷いなくスタートを切り、勝ち越しのホームに滑り込んだ。
両校の挙げた5得点のうち、4点がスクイズや犠打飛によるもの。「流れを渡してなるものか」という意地がぶつかり、重い1点を奪い合った。中部商の主将、根保飛翼は「我慢を続け気持ちで負けなかった」と勝因を語った。
8月の県新人中央大会で初戦敗退したチームが2カ月で県覇者に上り詰め、学校創立50周年にも花を添えた。次なる舞台、九州大会は甲子園出場へ結果が求められる。「ここで満足せず甲子園につなげる」と根保。敗戦から学び、磨き上げた団結力をひっさげ、九州の猛者たちに挑む。(大城周子)
◆伊波→前田信頼の継投
中部商は伊波和輝、前田敬太がともに1失点と粘りの投球で糸満の猛追を振り切った。
背番号10の伊波は2回戦以来の先発に「絶対にゼロでつなぐという気持ちだった」。本調子ではなかったが、適度に荒れた球で的を絞らせなかった。六回からリリーフした背番号1の前田は直後に追加点を献上したものの「まだ同点だから大丈夫と言い聞かせて、味方を信じて投げた」と徐々にギアを上げ、最後は圧巻の2者連続三振で締めた。
前田は「伊波がいなければ成長できなかった」と言い、新人大会までエースナンバーだった伊波は「前田は頼れる存在だけど、冬が明けたらエースを取りたい」と返す。両投手が切磋琢磨(せっさたくま)することが、チームのさらなる進化につながる。
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