銘苅淳のハンドボール魂 fromハンガリー(3)


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クラブチームで練習に励むハンガリーの子どもたち

<実戦経験>喜び楽しさ得る機会
 秋。スポーツをするには最適な季節になりましたね。今回は「プレーする」大切さについて考えてみたいと思います。
 私たちが日頃練習をするのは何のためでしょうか? 多くの人にとっては試合のためだと思います。

試合が楽しみだから、きつい練習も頑張れますよね。試合は練習の成果を確認でき、仲間と同じ目標を持てるチャンスです。試合を重ねることで上達し、うまくなることでモチベーションも上がります。競技を長く楽しむには、試合を経験することが大切です。ハンドボールに関していえば、日本で(中高生など)最も多く試合をするのは全国制覇をするチームでしょう。地区大会1回戦で負けるようなチームだと年間の公式戦が数試合という場合もあるはず。楽しさを感じる前に競技から離れてしまうことにつながり、大人になってもスポーツに親しむ機会が少ないように感じます。
 ハンガリーでは16歳頃まで、いわゆる全国大会はないそうです。代わりに各地域でリーグがあり、1チーム年間20試合ほどをこなします。試合数を確保することで競技に親しむ機会が増え、敗戦を次に生かすこともできます。クラブチームは年齢による「カテゴリー」に分けられますが、実力のある選手は年上のカテゴリーでもプレーでき、早いうちに高いレベルを経験できます。22歳以下の選手は掛け持ちも認められ、トップチームで出場機会を得られなくても下部のチームで主力として活躍できます。
 スポーツにおいて大事な実戦経験。そのために試合を活用したいものです。ただし、テーマを持たない試合はだらけてしまい、「笑って楽しかったけど、うまくはならない」という結果になりかねません。試合につながる練習、そして試合では成果の確認と挑戦。これらをうまく循環させ、プレーする喜びと楽しさを得ることがスポーツの大きな魅力だと思います。(隔週火曜掲載。次回は10月28日)
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