糸満4強入り センバツ有力 秋季九州野球


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準々決勝・糸満―明豊 11回糸満1死一、二塁、勝ち越しの2点適時二塁打を放つ大城龍生=27日、筑豊緑地野球場(普久原裕南撮影)

 【福岡県で大城周子】来春の選抜大会(春の甲子園)出場校選考の参考資料となる高校野球の秋季九州大会(第135回九州大会)は27日、福岡県の北九州市民球場などで準々決勝があり、糸満(沖縄2位)が明豊(大分1位)を延長十一回の末に9―6で破って初の準決勝進出を決めた。

中部商(沖縄1位)は九州学院(熊本1位)に0―6で敗れた。
 糸満は選抜大会出場切符をほぼ手中にした。甲子園出場が決まれば2011年夏以来で春は初。通算2度目となる。糸満は29日午後0時半から神村学園(鹿児島1位)と決勝進出を懸けて戦う。

◆激戦制し春前進/大城、歓喜の決勝打
 延長十一回1死一、二塁。「ここで打ったら新聞に載るな」。糸満の大城龍生は見せ場を楽しんでいた。4球目。前の打席まで伸びを感じた直球が「ゆっくりに見えた」。芯で捉えた打球は右中間を深々と破り、試合を決定付ける勝ち越しの2点二塁打。生還した走者をベンチが歓喜の輪で迎えた。
 野球の妙、というにはあまりに劇的だった。糸満は九回表を終えて4点をリード。だが、楽勝ムードは急転する。好投していたエース金城乃亜の制球が甘くなり、スリーランを含む4失点。試合は振り出しに戻った。「互いに勝ちに向かって点の取り合いをして楽しいな。さあ野球を楽しもう」。上原忠監督は沈みかけたナインを鼓舞した。そして十一回。指揮官が「全幅の信頼を置いている」と語る池間誉人と岡田樹の1、2番コンビが二塁打、四球で好機を築き、大城の勝ち越し打につないだ。
 今夏の県大会準優勝のチームから代替わりした直後の新人大会は、地区予選でコールド負けに完封負けと散々な発進だった。「ゼロからの挑戦」を掲げてがむしゃらに練習してきた。前チームからレギュラーで現主将の池間は「一人一人の意識が全然違う。だいぶ成長した」と胸を張る。甲子園切符はもう手の届くところにある。次の試合はより内容が求められる。大城は「優勝するつもりで勝ちにこだわる」と日に焼けた顔を引き締めた。(大城周子)