【島人の目】ラテンラバー


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 先日、「ベルルスコーニのハーレム」と題された盗撮写真記事がイタリアの芸能週刊誌に大きく掲載された。ベルルスコーニとはイタリアの前首相でメディア王、プロサッカーの強力軍団ACミランのオーナーでもあるベルルスコーニその人である。
 国内最高のリゾート地サルデニア島の豪華別荘で5人の若い女性と手をつないで散歩したり、いすに腰掛けて両膝(ひざ)に女性を座らせてにやけている写真などが紙面を飾った。
 イタリア一番の大金持ちは、話し好きでどこか憎めないところがあり人気は高い。首相在任中には話し好きが高じてフィンランドの女性大統領タルヤ・ハロネンにセクハラまがいの言葉を掛けて物議を醸し、今年は元女優の妻の前で若い女性に言い寄って、妻が大手新聞上に正式に謝れと公開状を出すなど、いかにも「イタリア野郎」然とした脇の甘いハチャメチャな生活ぶりである。
 雑誌記事を見た妻は再び公開状を出そうかというくらいに怒りまくった。でも別に夫と別れる気はなさそうだし、世論もあきれながらも彼を深く追求したりしない。ほかの国ならすぐにバッシングが起こりそうな政治家の女性問題にはイタリア国民は目くじらを立てないのだ。よく言えば大人、悪く言えば節操がない。次の総選挙で3度目の政権奪還を狙っている男に対する国民の評価はすこぶる甘いのである。
(仲宗根雅則、イタリア在住・TVディレクター)