全国障害者スポーツ大会 長崎で開幕 県勢9競技・69人挑む


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挑戦者として大会に挑む県聴覚障害者協会女子バレーボール部=10月18日、浦添市のサン・アビリティーズうらそえ

 【長崎で屋嘉部長将】第14回全国障害者スポーツ大会(長崎がんばらんば大会)が1日から長崎県で開催される。県勢は個人種目に29人、団体競技に40人の計69人が9競技に出場する。

団体競技では、5月に行われた九州ブロック予選で優勝した県聴覚障害者協会女子バレーボール部、知的障がいの女子バスケットボールチーム「ちゅらさん」とサッカーチーム「ブルーシーサー」が出場する。全国で上位進出や念願の1勝を目指す各チームは本番を前に気合が入っている。

<バレーボール>技術十分「金」に照準
 九州ブロック予選で15連覇し、全国大会常連となっている県聴覚障害者協会女子バレーボール部。昨年の全国大会で3位、ことし9月に県内で開催され、初出場した「第48回全国ろうあ者体育大会」でも3位という成績を収めた。チームは3位という成績には満足せず、挑戦者として今大会に挑む。
 昨年、ブルガリアで開催された聴覚障がい者のオリンピック「デフリンピック」に出場したセッター高良美樹やキャプテンでエースアタッカーの島尻真鈴など選手一人一人の持つ技術は高い。島尻は「このチームの技術は強豪チームとそんなに差はない。ただ、気持ちが弱いだけ」と分析する。1人でも気持ちが切れてしまうと、全体のミスにつながるため、アイコンタクトや声掛けで互いの考えを伝える。
 チームには、アタッカーが1人しかいないという課題があった。ことし、加入した松川あやねは小学校から競技経験があり、次世代のエースとして期待されている。「ろうあ者大会よりレベルの高い全国大会で、ミスなく頑張りたい」と力を込める。
 力はあるが、わずかに優勝に手が届かない。高良は「何度も(全国大会に)出場しているので、そろそろ優勝したい」。島尻は「自分たちの実力を全力で出し切って、一番輝いているメダルを取って笑顔で沖縄に帰ってきたい」と意気込んでいる。

<サッカー「ブルーシーサー」>雪辱へ高い士気 山内は得点王狙う
 今大会で3回目の出場となる知的障がい者サッカーチーム「ブルーシーサー」。社会人が中心のメンバー構成で、カウンター主体のチームだ。
 今回の初戦の相手は、昨年惜しくも3位決定戦で負けた札幌市。昨年のリベンジのためチームの士気は高い。キャプテンの東恩納大地は「1回戦は絶対に勝ちたい。そのために今まで練習をしてきた」と話す。
 チームのキーマンは県選手団の旗手でもある山内健勝。昨年までは、センターバックやボランチのポジションだったが、ボールのキープ力やシュート力を買われ、フォワードにポジションを変更した。「たくさん得点を決めて、チームに貢献したい。得点王を目指したい」と語る。
 順当に勝ち進めば、決勝では、山内の兄で知的障がい者サッカー日本代表の康勝を擁する東京都と当たる。
 田盛寛人監督は「まずは初戦を突破し、決勝進出を狙って頑張りたい」と意気込んだ。

<バスケ「ちゅらさん」>目指す、初の全国1勝
 知的障がい者バスケットボール女子チーム「ちゅらさん」は九州ブロック大会で4連覇しているが、全国大会ではまだ勝利がない。戦力がアップした今大会は、チーム初の全国1勝を目指す。
 これまでのチームは、得点をエースの幸地千夏に頼ることが多かった。全国大会では、徹底的にマークされ、幸地が思うように得点できず、負けていた。攻撃のバリエーションを増やすため、幸地は相手を引き付けながら、周囲の選手にボールを回しチャンスをつくるようにしている。「得点もたくさん決めたいが、チームが勝つためのプレーをしたい」と力を込める。
 司令塔として成長した仲程亜未がチームをまとめ、ゲームの流れをつくり出す。「みんなでボールを追い掛け、シュートにつなげる。チームワークをよくするため指示していきたい」と話す。
 幸地とともに、オフェンスで期待されるのが、チームで最も身長のある近藤美聡。163センチの長身を生かし、ゴールを狙う。「初めての全国大会で、緊張しているが、チームワークを大切に頑張りたい」と語る。
 酒井克浩監督は「選手が役割を理解し、組織的な攻撃ができるようになった」とチームの変化を語り、「確実に1勝は近づいてきている」と初勝利に期待を寄せた。