県高校サッカー 前原と西原が決勝進出


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 第93回全国高校サッカー選手権大会県大会は8日、西原町民陸上競技場で準決勝を行い、前原と西原が勝ち上がった。前原は前後半80分を終えて同点のまま延長戦に突入。延長後半に田里駿が決勝ゴールを決めて読谷との接戦を制した。西原は2点のリードを追い付かれたが、途中出場の川満拳也が2得点1アシストと活躍して豊見城を突き放した。

決勝は15日に同会場で行われる。

◆前原、延長の接戦制す 劣勢にも諦めず前進
 瀬戸際に立たされても前原イレブンは前に進み続けた。1―2で迎えた後半38分に途中出場のFW瑞慶山史知がゴールネットを揺らして同点に追い付くと、延長後半にFW田里駿が相手のミスを突いて決勝点を奪った。「諦めない気持ちが伝わってきた」と和仁屋恒輝監督。延長を戦い抜いた選手たちの粘りをたたえた。
 楽な試合ではなかった。前半の開始直後は前原が主導権を握った。持ち味のパスサッカーが随所で光り、何度も読谷ゴールを脅かした。しかし好機を作りながら得点を逃すと、試合は徐々に読谷のペースに。ゴールの目前までボールを運ばれるなど、ピンチが何度も訪れた。田里は「緊張からいつも通りのプレーができなかった」と反省する。
 後半6分にFW山田大貴がこぼれ球を押し込んで先制したが、5分後に同点とされ、同17分に逆転された。瑞慶山の得点で延長戦に持ち込んだが、読谷の勢いに押され続けた。
 それでも「耐えれば自分たちの時間が来ると信じていた」と言う田里の決勝ゴールで試合を決めた。
 同点弾の瑞慶山は「追い掛ける試合で逆転したのはいい経験になった」と決勝に向けて手応えがあった様子だ。
 田里は「苦しい試合だったけれど、応援のおかげで勝てた。決勝は、今までの練習成果を全て出したい」と気合を入れ直した。
 (平安太一)

◆西原、5得点突き放す 序盤、終盤に持ち味
 流れるようなパスから一気にゴールになだれ込む。西原が試合の序盤と終盤のゴールラッシュで豊見城を突き放し、決勝戦に向けて勝ち名乗りを上げた。
 前半1分。西原のDF小磯良志朗とMF宮城仁志の目が合った。宮城がディフェンスの裏を突いて対角線に走ると小磯から「狙い通り」のパスが来る。宮城が右足を振り抜くと強烈なシュートがゴール右端に突き刺さった。
 続く2点目はFW北川秀人がトラップから体を回転させ、得意の左足でゴールを奪った。
 2―0から同点に追い付かれ、いやな流れになりかけていた後半。MF石川涼太が走りだすのに気付いたMF川満拳也がヘディングでスペースにボールを出すと、石川が勢いよく流し込んで勝ち越した。縦に抜けるスピードが持ち味の石川らしいゴールだった。
 さらに、4点、5点と川満がダメ押しのゴールを決めた。
 豊見城の前城淳監督は前年度まで西原を見ていたため、選手をよく把握していた。西原の内間直行監督も「やりにくかった」と苦しい場面もあったが、西原イレブンは成長を見せる勝利で恩師に恩返しをした。
 1週間後の決勝戦では宿敵前原との決戦となる。
 リーグ戦では1勝1敗。先制ゴールの宮城は「決着をつけて、この仲間で絶対に全国へ行く」と気持ちを高ぶらせた。(関戸塩)

前原―読谷 後半38分、同点ゴールを決め喜ぶ前原のFW瑞慶山史知(左)=8日、西原町民陸上競技場(諸見里真利撮影)
準決勝 西原―豊見城 後半26分、試合を決定づける4点目のシュートを決める西原のMF川満拳也(諸見里真利撮影)