銘苅淳のハンドボール魂 fromハンガリー(6)


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ドイツでプレーしている東江太輝(右)と。良き相談相手で、互いに高め合える関係だ

<戦友>弱さも共有、高め合う
 ハンガリーは外出時にコートが必要なほど寒くなり、沖縄で生まれ育った僕にとってつらい冬がやって来ました。

 海外生活では思うようにいかない時があります。言葉や文化の違いといった日常生活だけでなく、ハンドボールに関しても好不調があり、ストレスをためてしまうことがあります。そんな時に効果的なのは、普段はなかなか使う機会のない日本語を話すことです。僕の場合、ドイツのキールでプレーしている東江太輝(那覇西高-日体大-湧永製薬)と週に1度、連絡を取っています。彼は高校の後輩で、恩師の息子ということもあって昔からよく知っているのです。
 彼と話しているとあっという間に時間が過ぎて4、5時間話し込むこともあります。「彼女か!」と突っ込みたくなりますが、僕にとって彼は戦友です。同じヨーロッパでプレーしていて目指すところも似ているので、共感できる部分がたくさんあるのです。同じような悩みを抱えていることも多く、2人で解決策を探すこともあります。ネガティブになることもありますが、それを共感できる人がいることは大事です。恋人が相手だと、きっとプライドが邪魔してしまうと思います。それに、共感のない相手にきれいな言葉を並べて励まされても、うれしくありません。弱さもさらけ出せる存在こそが僕にとっては「戦友」なんです。
 予期せぬことが起こる海外生活では、多くの人が助けてくれることがありがたいです。でも、頼ってばかりでは駄目だとも思います。困難に直面した時に乗り越える力は大切で、それは学習指導要領に示される「課題解決能力」「生きる力」につながると思います。
 同じ目標に向かって切磋琢磨(せっさたくま)し合い、協力し合い、高め合いながら前に進んでいける関係。将来、そんな戦友みたいな人が奥さんになってもらえたら、と理想だけは高いのですが(笑)。
 (隔週火曜掲載。次回は12月9日)
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