江藤光喜(フライ級)KO初防衛 東洋太平洋ボクシング


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 ボクシングのOPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチが26日、後楽園ホールで行われ、同級王者の江藤光喜(本部町出身、北部農林高―白井・具志堅スポーツ)が同級1位のクリス・ポリーノ(フィリピン)に10回2分53秒でKO勝ちし、初防衛に成功した。

江藤は1回から速い攻撃を繰り出して試合の主導権を握ると、相手の激しい攻撃を何度もしのいだ。10回はロープ際に追い込んだ相手に連打を浴びせ、ダウンを奪った。
 スーパー・フライ級8回戦で江藤光喜の双子の弟・江藤大喜(北部工高―白井・具志堅スポーツ)はゾレン・パマ(フィリピン)を相手に、1回に左フックでダウンを奪うなど終始優位に試合を進め、3―0で判定勝ちした。
 昨年の県高校ボクシング選手権大会のバンタム級で優勝し、最優秀選手賞を受賞した宮古工高出の比嘉大吾(白井・具志堅スポーツ)は、藤井敬介(宇都宮金田)と対戦。左ボディーやフック、コンビネーションから連打で攻め立て、1回1分20秒でレフェリーストップのTKO勝ちした。

◆10回“心砕く”右ボディー
 初防衛戦に臨んだ江藤光喜の顔に試合後、ほとんど傷は付いていなかった。「盛り上がるから好きだ」という打ち合いを序盤から避け、カウンター狙いの相手に詰めより、的確に打ち込んだ。「完璧な試合展開で、相手の気持ちを折った」と野木丈司トレーナーが語るように、最後は江藤の右ボディーでクリス・ポリーノはリングサイドに崩れ落ちた。
 「熱くなりやすい」江藤にとって、防衛戦は新スタイルを見つける挑戦でもあった。6月のタイトル戦以降、体を鍛えて体幹の良さも増したが、課題は性格を抑えることだった。
 序盤から相手をリングサイドに追い続けたが3回に相手のパンチが左頬をかすり、奥歯が折れた。江藤は「歯が折れて踏ん張れなくなり、無理に前に行くことをやめた。逆に落ち着いた」と語る。4回でリードしていることが分かると試合巧者ぶりを発揮した。
 終盤までジャブで相手を下がらせ、向かってきたところでボディーとフックのコンビネーションを放って畳み掛けた。江藤は「今まではけんかをしていたが、ボクシングをした気分だ」としみじみと語った。
 10日後に結婚式を迎える江藤。試合後のリング上に妻・さくらさん(25)を上げ、喜びを爆発させた。具志堅用高会長には「もうこのタイトルを防衛するつもりはないし、日本チャンピオンにも興味がない。来年は世界戦をさせてください」と直訴。初防衛直後だが、視線はすでに次の目標に向かっている。(池田哲平)