米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けて沖縄防衛局が提出した工法変更申請で、仲井真弘多知事が12月9日までの任期中に承認する意向を示していることが28日までに分かった。琉球新報などの取材に対し「知事の責任がある。やはり知事としての判断を」などと述べたほか、与党関係者に承認する意向を伝えた。
防衛局は県の3次質問に対し週明けにも回答する。県が早期に判断できるよう作業を急ぐ構えだが、16日の県知事選で落選した仲井真氏が残任期間中に承認することになれば、大きな議論を呼びそうだ。
変更申請手続きで防衛局は27日、環境保全面で問題が多かった美謝川の水路切り替えの1件を取り下げた。県土木建築部が28日出した3次質問には12月1日にも回答する。その場合、県土建部の審査は12月5日ごろまでに終了するとみられ、9日までの仲井真氏の任期中に承認の可否を判断できる環境が整う。
仲井真知事は26日、本紙などの取材に対し「知事である以上、事務処理は知事としての判断を(したい)」などと発言した。
16日の知事選で敗れた直後は県幹部らとの会合で残任期間に関し「レームダック(死に体)だから」と述べ、承認の可否判断は辺野古移設反対を掲げて当選した翁長雄志氏に委ねる考えを示唆。ただ25、27日の両日に土建部から審査状況の報告を受けた際は「(事務処理は)自然体で進めるように」と述べ、移設反対の民意が示された知事選の結果とは切り離し、事務作業を進めるよう指示していた。
ただ県幹部らは仲井真氏の残任期間中の判断に否定的で、衆院選を控えた自民など与党内からも「世論を刺激する」と慎重な判断を求める意見もあり、承認するかは流動的な要素も残る。
沖縄防衛局は9月3日に辺野古埋め立て工事に関し、移設予定地に隣接するキャンプ・シュワブ内の辺野古崎への仮設道路の追加整備や、土砂運搬方法の変更などの4件の工法変更申請を県に提出。このうちシュワブ内から移設予定地に流れる美謝川の切り替え水路の変更について、暗渠(あんきょ)(地下水路)部分が当初計画の4倍の長さになり「生物への影響が大きい」(県環境部)と指摘され、美謝川の1件を27日に取り下げた。