最高裁国民審査 沖縄密約、高江を判断 2氏、県関連で判決


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 衆院選と同じ14日に実施される最高裁裁判官の国民審査では、5人の裁判官が対象となる。期日前投票は7日から始まる。5人のうち、少なくとも2人は沖縄関連の大型裁判の判決に関わっている。

 今回審査を受けるのは、15人の裁判官のうち前回衆院選後に任命された5人。告示順に鬼丸かおる氏(65)、木内道祥氏(66)、池上政幸氏(63)、山本庸幸氏(65)、山崎敏充氏(65)。
 鬼丸氏と山本氏はことし7月、元毎日新聞記者の西山太吉さんらが1972年の沖縄返還をめぐる密約文書の開示を求めた訴訟で、上告を棄却し原告側敗訴を確定させた。行政機関が「存在しない」とする文書について、不開示を決定した時点で行政側が文書を持っていると立証する責任は請求者側が負うという判断を最高裁として初めて示した。
 また鬼丸氏はことし6月、第2小法廷の裁判長として、東村高江での米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設現場で反対運動を続ける住民に対し、沖縄防衛局が通行妨害禁止を求めた訴訟で、国から訴えられた住民の上告を棄却した。山本氏も裁判官として関わった。
 沖縄関連ではないが昨年9月に、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を、法律上の夫婦の子の半分とする民法規定をめぐる裁判で「法の下の平等に反する」と初めて判断を示した大法廷決定には、山本氏、木内氏も関わった。
 昨年7月の参院選の投票価値不平等をめぐる「1票の格差訴訟」のことし11月の大法廷判決では、山本氏が「投票価値の平等は、他に優先する唯一かつ絶対的な基準として、あらゆる国政選挙において真っ先に守られなければならない」とする意見を述べている。
 国民審査では、罷免を求める「×」の票が有効数の過半数になると罷免される。白票は全て信任票として扱われ、「×」以外は全て無効となる。投票したくない人は票を係員に返せる。過去22回の国民審査で罷免された例は1人もいない。