シークヮーサーに美白効果 琉大と中部大のチーム確認


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シークヮーサーの皮にメラニン生成抑制作用があることを発見した琉球大の照屋俊明・教育学部准教授(左)と中部大大学院の禹済泰教授=6日、那覇市の県立博物館・美術館

 琉球大学教育学部の照屋俊明准教授(理学博士)と中部大学の車炳允(ちゃびょんゆん)准教授、同大大学院の禹済泰(うぜて)教授らの共同研究チームがこのほど、シークヮーサーの皮に含まれる成分・ノビレチンにメラニン生成抑制作用があり、美白効果があることを発見した。

併せて県産業振興公社の補助事業を活用し、シークヮーサー残さからノビレチンエキスを効率的に抽出する製法も確立した。シークヮーサーを活用した新たな化粧品や健康食品の開発につながる研究成果として注目されそうだ。
 これまでも、シークヮーサーに含まれるノビレチン成分にメラニン抑制効果があるといわれていたが、今回初めて、ヒトの皮膚細胞から培養した3次元皮膚モデルを用いた実験で初めて美白効果を証明。研究成果は9日、米光化学関連雑誌「ポートケミストリー&ポートバイオロジー」のオンライン版に発表される。
 ヒトの日焼けは、太陽光の紫外線(UV)が皮膚に当たり、メラニン生成酵素であるチロシナーゼ産生が上昇することで肌が黒くなる。今回実験によってノビレチンが、チロシナーゼを活性化させるタンパク質であるエンドセリンとステムセルファクターの働きを60%抑えることが分かった。人間の体内では一定のメラニンが必要なため、チロシナーゼの働きを直接阻害すると白斑などの症状が起こる。ノビレチンは、チロシナーゼへの直接阻害ではなく、その活性を左右する二つのタンパク質の働きを抑えるため、白斑という副作用も出にくいとされる。
 共同研究者の一人でバイオ企業・沖縄リサーチセンター(うるま市)の社長も務める禹教授は「飲んでも、塗っても効果が期待できる美白商品を早ければ来年中に完成させたい」と研究成果の実用化に意欲を見せた。琉大の照屋准教授も「沖縄の農産物の新たな可能性を見つけることで、6次産業化に貢献したい」と語った。