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浦添工高2年の屋比久すずが23日、県勢女子レスリング選手で初出場となる天皇杯に58キロ級で挑む。同階級は五輪3連覇、世界選手権9度優勝の伊調馨も出場する日本最高峰の舞台だ。
全日本選手権2回、国体5回優勝で五輪最終候補だった父・保(北部農林高監督)、11月のブラジル杯優勝の兄・翔平(日体大2年)のレスリング一家に育った伸び盛りの17歳。沖縄レスリング界の逸材が最高レベルの戦いに挑む。
レスリングのトップレベルには小学生のころから競技を始めた選手が多いが、屋比久が本格的に競技に取り組み始めたのは中学3年から。結果も出ず、自信を持てない時期を過ごしたが、ことし4月の全国大会「ジュニアクイーンズカップ」で3位入賞し「自分でもいける」と、より真剣に打ち込むようになった。
8月のインターハイは決勝に進んだが、国際大会の経験が豊富な相手に完敗。「戦う前に負けていた」と精神的な弱さを痛感し、マット上で泣きじゃくった。10月の全日本女子オープンは減量に苦しみ初戦敗退した。
勝っても負けても全国大会で経験を重ね、実力に磨きをかけている。最近ではブラジル杯で優勝した兄・翔平の存在が刺激となり「世界で活躍できる選手になりたい」と世界を身近な存在と感じられるようになった。翔平も「男子とスパーリングしても負けると悔しがる。負けん気は強い」と妹を評し、「きょうだいで一緒に勝ちたい」と天皇杯を楽しみにしている。
屋比久の素質を「グラウンドに強く、体が柔らかくてバランスがいい。練習も一生懸命で申し分ない」と語る浦添工高の嘉手納太監督も「高校2年で天皇杯を経験できることは大きい」と成長に期待を寄せる。父親の保も「やってきたことを出してきなさい」と背中を押した。
決戦は23日。前日に組み合わせが決まる。伊調との対戦を「やってみたい」と目を輝かせた。(関戸塩)