名護の光文字“20歳”で区切り 1月11日最後の点灯


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「光ある希望を」という願いを込めた、1回目の光文字「光」=1996年1月15日、名護市内

 【名護】年末年始に名護市の銭ケ森の斜面にともされていた光文字の点灯が来年1月の20回目で終了する。光文字は東江中学校出身の新成人らが1996年から市民に届けてきたメッセージで名護の風物詩にもなった。

 機材の提供や県が管理する設置場所の使用許可手続きを担ってきた支援者らが「20年の節目で一区切りにしよう」と判断し、光文字実行委員会の解散を決めた。ただ、市や他団体による継続にも期待している。

 最後の光文字は2015年1月11日午後6時の点灯と同時に発表される。光文字実行委員会副会長の比嘉伸企さん(20)は「最後の文字には感謝の思いを込めた。ついた瞬間みんなに驚いてほしい」と話した。

20年の感謝の思いを込めた光文字を準備する東江中出身の新成人ら=28日、名護市の銭ケ森

 光文字は成人の門出を迎えた東江中卒業生らが地域に貢献しようと考え、父母の協力を得て企画した。96年の1回目は光ある未来に期待する意味を込めた「光」。97年は女子中学生拉致殺害事件の被害者を悼む「花」。98年は米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる住民投票で分断された人間関係を取り戻そうとの思いを込め、「和」の光文字をともすなど、名護の世相も表してきた。96年当初から支援する屋部笑美子さん(66)は「沖縄の成人式は荒れる様子が報道で取り上げられるが、名護の新成人が毎年継続してきた光文字というグッドニュースも広まってほしい」と語る。

 15年前から電球の設置に協力する伊波設備の伊波敏夫専務(48)には毎年市民から期待の声などが寄せられる。「『愛』の文字がともされた02年には中南部の青年が名護に来てプロポーズのきっかけにした話もある」と語った。

 ことしの新成人らは11月から準備し、28日、名護の街を一望する銭ケ森の斜面に電球を設置した。1回目の光文字を設置した中心メンバー、那覇市の日高利和さんの娘、利江さん(20)も今回作業に参加。「仲間と結束して成し遂げた光文字の感動を父はよく話してくれた。多くの支援で20年も続いていることに感動する」と語った。今回は新成人が世話になった人々に込めた思いや、この取り組みが20年継続できたことに感謝する文字が名護の夜に浮かび上がる。(嘉陽拓也)