コザ、シードの壁破れず 全国高校ラグビー


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2回戦 コザ―慶応 後半9分、敵陣ゴール前でボールを持って突進するナンバー8の高江洲匠=30日、東大阪市の近鉄花園ラグビー場(関戸塩撮影)

 第94回全国高校ラグビー大会第3日は30日、東大阪市の花園ラグビー場で2回戦16試合が行われ、県代表のコザは慶応(神奈川)に5―43で敗れた。

ノーシードの大分舞鶴がAシードの国学院栃木を31―19で破り、3回戦に進出した。Aシード校の初戦敗退は第68回大会で東農大二(群馬)が作新学院(栃木)に4―16で敗れて以来、26大会ぶり。
 コザは県勢初のシード校撃破を目指したが、序盤は慶応FWにモールでインゴールまで持ち込まれ、続けて2トライを奪われた。その後も慶応の縦への突破を止めきれなかった。コザは後半にラックからの連続サイド攻撃で攻め込み、新垣太世がトライを挙げた。
 3回戦8試合は来年1月1日に実施し、ベスト8が出そろう。

◆V候補に意地の一矢
 優勝候補に挙げられるシード校の慶応に38点を奪われた後半19分、フッカーの新垣太世はプロップ當眞琢が作った空間に飛び込んだ。人が密集し「最初は決まったか分からなかった」が、ゴールラインを超えているボールを見て成功に気付いた。14分間攻め続けてやっとつかんだトライ。新垣は「コザ全員の一生懸命な思いがこもったトライだった」と振り返った。
 前半から力で押し寄せる慶応の猛者たちに、コザはボールを奪い合う場面さえつくれなかった。19点を先制された前半18分にはフルバック石川大夢が約50メートル独走する見せ場もあったが、相手のタックルにつかまった。石川は「あそこで決めていればチームの流れが良くなったのに」と悔しがった。
 38点を失ってから始まったコザの攻め。センター松井陸人が突進し、島千尋主将の代わりにナンバー8に入った高江洲匠が果敢に突き進む。慶応のディフェンスに阻まれてもコザフォワードはラック、スクラムで押し負けず「このままでは終われない」という気迫のプレーで執念のトライを奪った。フォワードの中心、島田大地は「相手がラックに人数を掛けようとしたときに隙ができた。意地があった」と語った。
 2年生でフランカーとしてフォワードの一角を担った玉城一樹は「でかい慶応相手にフォワードでトライを取れて自信になった。この経験を次に生かしたい」と、次世代コザの成長を誓った。(関戸塩)