【北部】北部地区を中心に民間救急ヘリを運航するNPO法人MESHサポート(小浜正博理事長)はことし、従来の患者の救急搬送に加え、離島やへき地への巡回医師派遣にも取り組んだ。
医療機関や自治体と連携し、代診や専門医師の派遣を28件実施。離島までの移動時間が大幅に短縮されたことで診療時間を確保でき、医療サービスの向上につなげている。
医師派遣では、10月から本島南部のヘリポートを使い、北部の離島に医師を直接派遣できるようになったことが大きい。
今月18日、那覇市の県病害虫防除技術センターのヘリポートから伊平屋島へ巡回診療の眼科医を運んだ。地域医療振興協会沖縄地域医療支援センター(崎原永作センター長)との連携による、ことし最後の医師派遣だ。那覇から車や船舶を利用して最大3時間ほどを要した移動が、約25分と一気に縮まった。
崎原センター長は「県外の医師の日帰り代診も可能となった。現地での診療時間も大幅に延び、派遣医師の確保や離島医師の負担軽減など医療環境の改善につながる」と話す。MESHの塚本裕樹事務局長も「名護市の拠点に加え、ヘリで直接南部とつながる効果は大きい」と強調する。
ことしの運搬実績は192件(15日現在)。県のドクターヘリ(浦添総合病院運営)による鹿児島県などへの搬送が増え、その際の穴埋めとして南部周辺の離島からMESHへの要請が増加。渡嘉敷島などからの救急搬送も行った。那覇市消防本部との連携で、救急時に那覇港全域でヘリの離着陸も可能となった。
医療支援やニーズの広がりの一方で、課題となるのが運営費用だ。
本年度は機材の重整備費約3千万円を含め1億2千万円を予測している。北部広域市町村圏事務組合から9200万円の補助があるが、うち3700万円は医師派遣費として病院側へ支払われるため、実質支援は5500万円ほど。11月末時点の寄付は約2700万円で、前年度の約半分だ。
事務局は「関係機関との連携で、救える命を守る体制が少しずつ整ってきた。一層の支援を求めていきたい」と呼び掛けている。
寄付などの問い合わせは南部事務所(電話)070(5534)1755。