予算繰り越し判断早く 県公共工事、執行率向上に効果


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繰り越しによる予算執行のイメージ

 県は公共工事の執行率向上などを目的に、予算繰り越し議案の早期提出に取り組んでいる。2006年度以降は11月定例会から議案提出を始めていたが、13年度以降はこれを9月定例会からに早めた。県財政課は「予算執行率の変動にはさまざまな要因があるが、繰り越しの手続きを前倒しすることで執行率の向上にもつながっている」と説明する。

 財政課によると、公共工事の予算執行率は12年度の84・4%から13年度は85・4%と1・0ポイント改善。14年度は10月末時点の契約済み額で、前年同期比2・9ポイント改善の66・2%となった。繰り越しの議案提出を9月定例会に早めたことで一定の効果が出たとみている。
 予算は「単年度主義」であり、年度内で使うことが基本だが、特別な理由で年度内の執行が難しい場合は翌年度に繰り越すことができる。例えば用地買収に予定より時間がかかった際などに、年度内の残り期間で工事が完了しないことが明らかな場合、早期に繰り越すことで工事契約を早めることができるといったメリットがある。
 05年度までは予算の繰り越しの議案提出を2月定例会で実施していた。工事の契約を4月以降の翌年度まで待つ必要があり、結果的に工事の完了が遅れたり、予算の執行率が下がったりする原因となっていた。
 12年度には一括交付金の導入で公共事業が増えたこともあり、予算執行率が低下した。
 県は制度の範囲内で予算執行率を高める方策を検討し、13年度から繰り越しの議案提出を9月定例会まで早めることにした。
 県議会12月定例会の総務企画委員会で、早期に繰り越しをする妥当性を問われた小橋川健二総務部長は「繰り越しを早めることで執行率を改善し、不要額や繰越額を減らせる。やみくもに繰り越すと予算執行の緊張感がなくなりかねないが、年度内に完了しないのが明らかな事業を厳選している」と説明している。