メガマウスザメの歯の化石、本島で発見 アジア初めて


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 世界的にも化石標本がほとんどないメガマウスザメの歯の化石がこのほど、本島東海岸で発見された。北米やヨーロッパなどでの発見例はあるが、アジア地域での発見は公式記録として初めて。

 発見したのは沖縄美ら島財団(本部町)の沖縄美ら海水族館教育普及担当、横山季代子さん(44)。同財団総合研究センターの研究員冨田武照さん(32)と連名で論文をまとめ、春にも出版される日本古生物学会の英文の学術誌「古生物学研究」に掲載される。古生物学のサメを専門としている冨田さんは「今回の発見で、全世界に分布していたことが明らかになった。メガマウスザメの進化の解明につながれば」と話している。
 見つかった化石は1センチほどの大きさで、歯がフックのように曲がっている。冨田さんによると、見つかった海岸の地層が新生代第三期にあたることなどから、約1千万年前から300万年前の歯とみられる。
 横山さんの発見は、化石収集が趣味の岩瀬暖花(ほのか)さん(9)=那覇市立天久小3年=との出会いがきっかけだ。化石が多い東海岸の場所を暖花さんが紹介、横山さんがその場所で収集を進めている中で発見した。
 横山さんは「発見当時、価値のある化石と知らなかった。暖花さんと冨田さんとの出会いが今回の発見とアジア公式記録につながった」と話している。

<用語>メガマウスザメ 1976年にハワイで初めて発見された、プランクトンを主食とする体長約5~6メートルの大型のサメ。世界的にまだ60例程度しか発見や捕獲がされておらず、生態は不明で「幻のサメ」といわれる。生きた状態ではめったに見られないという。化石の発見例はさらに少なく、これまで北米やヨーロッパなど10地域で歯の化石が見つかっているが、アジア地域では公的機関が所蔵し、論文発表された事例は過去にない。
英文へ→The first Megamouth Shark fossil to be found in Asia has been unearthed in Okinawa

1センチほどの大きさのメガマウスザメの歯の化石
沖縄美ら海水族館の休憩所「美ら海プラザ」にある、世界でも珍しいメガマウスザメの液浸標本。全長は約5メートル=19日、本部町の美ら海プラザ