食材生かし、客呼び込む仕組みを 県が地産地消シンポ


社会
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「地産地消」をテーマに議論を交わす地元の生産者やエコノミスト=21日、那覇市の県立博物館・美術館

 県農林水産部は21日、地産地消の重要性や課題を考えるシンポジウムを那覇市の県立博物館・美術館で開催した。パネルディスカッションで、地元の生産者やエコノミストら4人をパネリストに招き、「地産地消推進が沖縄にもたらす豊かさとは」をテーマに討論した。県産品を県外に出すだけでなく、域内消費を進めて消費者を地域に呼び込む仕組みづくりの必要性や、供給が不安定になりがちな県産品を逆に「地域で採れた旬の食材」として売りにする発想などが提起された。

 パネリストの1人、我那覇畜産(名護市)の我那覇明社長は「良い物は外に出さず、地域で消費する。(消費者が)生産地まで足を運ぶような素材、仕組みをつくらなければいけない。そうすれば、ホテルや交通機関など他にも利益が落ちる」と地産地消の利点について述べた。
 盛岡市で地産地消を進める盛岡食材加工協同組合の重石桂司理事長は「安定供給ができないため地産地消は難しいとよく耳にする。しかし視点を変えると、地域で採れた旬の食材を提供できる。そのためには、地域食材の旬などをよく理解しなければならない」と述べた。さらに「国内には一つも食を専門とする大学がない。体と食の相関関係や観光分野から見た食など、知れば知るほど奥深い。沖縄に日本で唯一の食の大学をつくるのもいいのではないか」と提案した。
 地域エコノミストで日本総合研究所調査部の藻谷浩介主席研究員は、地産地消を進める際の課題を「消費者が『毎日同じ物が食べたい』というので、いつでもどこでも同じような物を提供するようになった。まずは自身の意識を変えなければいけない」と指摘した。その上で「料理を提供する側は楽したいので、安定供給できる県外産の材料に頼ってしまう。業者側の惰性だ」と料理を提供する側の意識についても述べた。