牧港一部施設、知花移転 日米が合意 黙認耕作地補償で難航も


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 【東京】日米合同委員会は30日、嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画に関し、浦添市の牧港補給地区の一部施設14棟を沖縄市の嘉手納弾薬庫の知花地区に移す基本計画(マスタープラン)について合意した。嘉手納弾薬庫知花地区では黙認耕作地で農業を行う住民らが多数いるため、立ち退きや補償の有無をめぐって計画が難航することも予想される。

 政府が沖縄の負担軽減策として打ち出した嘉手納より南の米軍施設の返還計画のうち、牧港補給地区は地元から跡地利用への期待が高く、県側は11年かかるとされる返還計画について「7年以内に短縮してほしい」と要望してきた。
 嘉手納弾薬庫の知花地区に新たに建設されるのは倉庫施設やスクールバスサービス関連施設など14棟。
 同地区を抱える沖縄市の桑江朝千夫市長は「政府間の合意事項であり直接、地元とは関係ない。今後、国からのアクションがあるだろうが現段階では判断材料が足りない」と話し、計画にどのような態度を取るかについては言及を避けた。
 牧港補給地区の返還は、倉庫や国防省支援機関の施設などを県内の他の米軍施設に移転することが条件となっており、移設先の一つとされるトリイ通信施設を抱える読谷村の石嶺伝実村長は「沖縄に米軍専用施設の約74%が集中していること自体が問題だ」と述べるなど、関係自治体からは反発の声も上がっている。