五輪柔道V3・野村さん、糸満南小で講演


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子どもたちが見守る中、柔道の技を指導する野村忠宏さん=15日、糸満市潮崎町の糸満南小学校

 【糸満】アトランタ、シドニー、アテネ五輪を3連覇した柔道家の野村忠宏さんが15日、糸満市立糸満南小学校体育館で講演会を開いた。第3回糸満市てくてくウオーキング大会の開会式で開催した。

柔道に励む子どもたちや大会に参加する市民ら多数が参加し、野村さんの五輪に懸ける思いに熱心に耳を傾けた。
 奈良県の柔道一家に生まれ、3歳で柔道を始めた野村さん。体重が軽く、柔道があまり強くなかったため天理高校柔道部時代の監督でもあった父に「無理に柔道を続ける必要はない」と言われた。「『兄とは違い、何で俺には期待してくれないのか』と悔しく、それが原動力となった」。大学では量より質を重視する練習法に変え、4年生で出場したアトランタ五輪で金メダルを獲得した。
 シドニー五輪での優勝後、「最強のままで、かっこよく引退しようと思っていた」と明かす。柔道から2年間遠ざかったが「3連覇を目指せるのは自分だけだ」と思い立ち、出場して優勝。「アテネでの挑戦は人生観を大きく変えてくれた」と振り返る。
 「3連覇は大きな誇りで財産だが、あくまで過去の結果だ。柔道や五輪とどう向き合ってきたかの過程が大事だ」と強調する野村さん。「続けるほどしんどいことがあるが、乗り越えるたびに心も体も強くなれる。続けて良かったと思える時は必ず来る。厳しさに負けずに頑張ってほしい」と子どもたちにエールを送った。
 講演後、子どもたちに柔道の技を指導した野村さん。背負い投げの助言を受けた西崎中2年の小橋川梨加さん(14)と梨名さん(14)は「緊張したけど、分からなかったことを詳しく聞けた」と感激した様子。
 野村さんと直接組み合った當間龍輝君(14)は「打ち込みの入り方や力の入れ方のレベルが違った。野村さんのような礼儀正しい柔道家になりたい」と笑顔で話した。