辺野古埋め立て、知事「事前協議が必要」


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 翁長雄志知事は4日の県議会本会議で、中谷元・防衛相が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て本体工事に夏ごろ着手したいとの見解を示したことに対し「ボーリング調査の後の実施計画に至るまで(県との)協議が必要だ」と指摘した。

埋め立てを承認した際の事実上の条件となっている本体工事着手前の実施設計に関する事前協議の必要性を強調し、中谷氏の発言をけん制したものだ。
 県は2013年12月に、仲井真弘多前知事が政府の埋め立て申請を承認した際に「留意事項」を付け、埋め立て工事の着手前に県と実施設計について事前に協議するよう定めている。
 翁長知事は県議会で、中谷氏が3日に「この夏にでも着手したい」と述べたことに関し「これから段階、段階でいろいろ(必要な協議が)あるにもかかわらず、交渉や話し合いもしないまま、夏ごろと国会でおっしゃったことは大変残念だ」と不快感を示した。
 移設阻止を掲げる翁長知事は、前知事の埋め立て承認の法的な瑕疵(かし)の有無について有識者の第三者委員会による検証作業を進めており、承認の取り消しや撤回も視野に入れている。
 ただ第三者委からの検証結果の報告は7月ごろの予定で、翁長知事としては検証結果が出るまでの間にも、実施設計に関する事前協議など「あらゆる手法」(知事)でその権限を行使し、政府側の作業に歯止めをかける構えだ。
 移設に向けた作業で政府は今後、中断している海底ボーリング調査を再開させ、埋め立て予定海域の地質や地盤を確認する。
 その後に埋め立て工事の詳細な設計基準などの計画を県側に提出する必要がある。
 埋め立て承認の際に付した事前協議などの留意事項は法的拘束力はないとされるが、県は「双方の合意が前提となっており、合理的な理由なく協議の拒否はできない」との見解を示す。
 県は実施設計のほか、本体工事中の環境対策や監視調査の事前協議、工事後の事後調査の協議も義務付けている。特に外来生物の侵入防止対策、ジュゴン、ウミガメなどの保護対策に万全を期すよう定めており、協議には一定の時間がかかるとみられる。