ヤエヤマイシガメ 宮古島で繁殖、駆除も 識者、移動に警鐘


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 【宮古島・石垣】環境省が3日に輸出制限する方針を示した八重山諸島の固有種ヤエヤマイシガメは、生息地の八重山諸島で乱獲され個体数の減少が懸念される一方、宮古島では外来種として繁殖し、宮古島の固有希少種の捕食が確認されるなど生態系を脅かし駆除が始まるなどの問題になっている。

 関係者によると、八重山では以前からペット目的で業者などに捕獲されていたが、数年前から食用として捕獲される事例も聞くようになったという。ただ業者や捕獲の実態などは把握されていない。
 石垣市は市自然環境保全条例に基づきヤエヤマイシガメを含む保全種と保全地区の検討を進める。竹富町も西表島の世界自然遺産登録を視野に町自然環境保護条例を見直し、希少種の保護を強化していく予定だ。
 一方、ヤエヤマイシガメは、1992年ごろから宮古島での生息が確認され、現在では市内のほぼ全域に広がっている。外来種として生息域を拡大しており、固有種で県天然記念物のミヤコサワガニや準絶滅危惧種のミヤコヒキガエルの捕食が確認されるなど、生態系への影響に懸念が広がっている。
 NPO海の自然史研究所の藤田喜久代表らは2013年の調査で、宮古島での希少種捕食の実態を確認。宮古島市は昨年3月から、ミヤコサワガニが生息する市城辺の湧水4カ所で駆除を始め、これまでに約200匹を捕獲した。「市全体でどれだけ生息するかは見当もつかない」という。市は来年度、ミヤコサワガニの保護監視員を民間に委嘱するなど、対策を強化する考えだ。
 藤田氏は「沖縄は島ごとに生息する種が微妙に違うものが多い。県内の生物だからと移動させると大問題を起こす可能性がある」と警鐘を鳴らした。