陸上の第19回春季記録会が14日、県総合運動公園陸上競技場であり、女子やり投げで當間汐織(久米島高-九州共立大)が55メートル77をマークし、県記録を更新した。男子砲丸投げでは手登根武魁(久松中)が14メートル76の県中学新記録を樹立した。
◆當間、地元で存在感発揮 60メートルへ課題見据え
新しく改修された地元の競技場で、當間汐織(久米島高-九州共立大)がさすがの存在感を示した。
自身が昨年6月にマークした県記録を2センチ更新。「動きが合ってなくて腕だけ振って投げた感じ。だめだめでした」。厳しい自己評価も、高みを見据えているホープらしい。
大学入学後初めての冬を越え、たくましさが増した。走り込みに加え、高校時代に経験のない本格的なウエートトレーニングで基礎を鍛えた。この日は、ぶれの少ない助走から低い軌道でやりを飛ばし、3投目に県記録を更新。久米島から応援に駆け付けた父の勉さんと祖母の上間道子さんを喜ばせた。
昨年6月のアジアジュニア選手権で自身初の55メートル台をマークして優勝を飾ったが、その後は自分の投てきを見失い悩んだという。正月休みに久米島へ帰省した際に後輩たちと練習を共にし、競技を純粋に楽しむ気持ちを思い出した。「主役は、やり。自分じゃない」。苦しみを経て答えを出し、「やりが気持ちよく飛んでいけるようやりに合わせて動く」イメージをつかもうとしている。
課題は気持ちが高ぶると力む癖だという。「投げたい気持ちをどれだけ抑えられるか。メンタルコントロールですね」。この時期の55メートル台は地力が付いている証し。心身ともに充実させ次は60メートル突破を目指す。(大城周子)
◆手登根“卒業”の砲丸で記録更新 「高校は重量挙げ専念」
4月からは高校で重量挙げに専念する手登根武魁(久松中)が有終の投てきを見せた。男子砲丸投げで5投目に14メートル76をマークし、自身の持つ県中学記録を32センチ更新した。
昨秋、全国大会のジュニアオリンピックカップで8位に入賞した。以降は重量挙げの練習に力点を置き、ウエートトレーニングに取り組んだことで筋力がアップ。「腕の振りが速くなって砲丸が軽く感じる」と語る。この日は試合直前の練習で15メートル40近くを投げていたといい、大台を突破できなかったことに悔しげな顔ものぞかせた。
176・4センチ、138キロの体にパワーと瞬発力を兼ね備えた逸材。中学2年の夏に砲丸投げを始めた当初の記録は8、9メートルほど。指導してきた父・隼人さんは「ここまで来られたらいい。15メートル出せなかったのは陸上への置き土産かな」と笑う。手登根は重量挙げ転向へ「ジャークで200キロが目標。達成できたら日本高校新記録も目指したい」。15メートル突破の夢は後輩たちに託し、新たなステージで活躍を誓う。(大城周子)
◆五輪「銅」選手らトップ級も参加 温暖な沖縄で腕試し
14日に行われた春季記録会には約850人の選手が出場した。3月に屋外で記録会が開催できるのは温暖な沖縄ならでは。本格的なシーズン開幕前に腕試しをと、県内外から選手が集結した。この時期に沖縄で合宿を行う実業団や大学のチームは多く、オフトレーニングの成果が確認できるため春季記録会は人気を集める。ことしは8月に世界選手権もあり、早い段階で課題を把握するために参加した選手もいた。
地元選手にとっては、北京五輪400メートルリレー銅メダリストの塚原直貴(富士通)や十種競技日本記録保持者の右代啓祐(スズキ浜松AC)らトップ選手と一緒に走る好機会。4年連続の記録会参加という右代は「早い時期にレース感覚を戻して課題を見つけられる。毎年ここからのスタートです」と笑顔で語った。
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