銘苅淳のハンドボール魂 fromハンガリー(14)


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いつも陽気なチームメート、ドミニカ人のディオと

<なんくるないさ>努力尽くし天命待つ
 今回のテーマはポジティブ(前向き)思考についてです。前回書いたメンタルの強さにもつながります。
 僕がハンガリーに来て、これは成長したかなと思えるのは「受け入れる」ことです。こちらに来た当初、文化や考え方など、生まれ育った日本とは違う部分がたくさんありました。「これはいい」と思えることもあれば「これはどうなんだ?」と首をかしげることも。チームの練習でもそうです。普通の練習だと思って特別な準備もせず行ったら実は泊まりでの遠征だった、なんて経験もあります。でも、ここにいる以上その環境でやるのが僕の仕事です。やるしかないのです。

 日本にいるときは、予期していない練習を指示されると「え? 聞いてないし」と思うこともありました。ハンガリーに来て、現状を受け入れることを学んだ気がします。チームメートが他へ移籍して僕にチャンスが巡ってきたとき、けがで入院したとき。振り返れば、それぞれの出来事が僕の人生において最善のタイミングで訪れたのだと思えます。きつい練習をやると急に言われても「自分を強くするチャンス。今が一番いいタイミングなんだ」と思うようになると、事前に伝えてくれなかったことに不満を持たなくなりました。
 「なんくるないさ」という言葉があります。本来は「正しいことをしていればなるようになる」という意味ですよね。同じように「果報は寝て待て」は努力を尽くした後は気長に良い知らせを待てとの意味ですが、「練って待て」からきているという説もあります。やるべきことをせず思い通りになることなんてありません。やるべきことをやり「後はどうにかなる」と楽天的な考えを持つことが必要です。現状を受け入れ、ポジティブに行動する。これが精神面の強さにもつながるのだと思います。
 連載は次回で最終回です。この半年間で感じたことや伝えたいことを最後に振り返りたいと思います。お楽しみに。
 (隔週火曜掲載。次回は3月31日)
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