「日米和親」で政府答弁 琉球の独立性示す 識者らが解釈


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 政府は20日、1854年3月に江戸幕府と米国間で結ばれた「日米和親条約」(神奈川条約)について、日本が「国際法上の主体」として締結した「最初の国際約束」とする答弁書を閣議決定した。県選出の照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。
 同年7月、琉球王国は米国と琉米修好条約を締結している。

 阿部浩己神奈川大教授(国際法)は「答弁では、日本が当時、国際法上の主体として国際約束を米国と締結し得たと明言している。そうであるなら、54年から59年にかけて琉球王国が米仏蘭と締結した修好条約についても、全く同じように、当時、琉球王国が国際法上の主体として国際約束(条約)を欧米諸国と締結し得たことを間接的に認めているに等しい」と指摘した。
 照屋氏は「琉米・琉仏・琉蘭3条約を締結したのは国際法上の主体(主権国家)たる琉球王国であることが判明した。琉米修好条約が日米和親条約よりも後に締結されたことを踏まえると、琉球王国と江戸幕府は異なる国際法主体であったと言える。琉球王国は、江戸幕府の統治権(支配)の及ぶ地域(領土)ではなかったことが分かった」と強調した。
 政府が「明治政府は『国家』たる日本国の『政府』であった」と答弁したことにも触れ「1879年の『琉球処分』によって、琉球王国は『国家』たる日本国に併合されたと言える。少なくとも日米和親条約が締結され、『琉球処分』が断行された54年から79年の間、琉球王国は国際法の主体たる主権国家、独立国家であったと、政府が認めたに等しい」とした。