県春季高校野球 宮古―興南 きょう決勝


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 第62回県高校野球春季大会(主催・県高校野球連盟、共催・琉球新報社)第10日は1日、北谷公園野球場で準決勝を行い、宮古が初、興南が3年ぶり11度目の決勝進出を決めた。

宮古は1点を追う九回裏に打線がつながり、2―1で豊見城に逆転サヨナラ勝ちした。興南は二回にスクイズで先制すると、四回に追加点を奪って2―0で沖縄尚学との接戦を制した。決勝は2日午後1時から同球場で行われる。

◆宮古、総力で逆転 下地、意地のサヨナラ打
 苦境という言葉がぴったりと当てはまるだろう。主力の4人が腸炎のため戦線離脱。ベンチ入りした16人の選手たちの体調も万全とはいえなかった。宮古の藤井智監督は「苦しいスタートでした」と言う。代打に代走。多くの選手がグラウンドに送り出され、総力を尽くして相手に立ち向かった。その先に劇的な結末が待っていた。
 1点を追い掛ける九回裏。1死から代打の来間孔志朗が敵失で出塁する。代走に送られた長崎和季が笠原崚央の左前打で二塁まで進むと、松川竜之丞の二塁打で生還した。なおも続く二、三塁の好機で打席には下地翔太。試合途中から出場し、この日の初打席で左前に適時打を放った。
 サヨナラの走者を迎え入れた宮古ナインは喜びを爆発させた。「最後まで我慢して、気力で勝利をつかんだ」と藤井監督は目を細める。殊勲打の下地は「全員野球で戦おうと思った」と白い歯をのぞかせた。
 同点打の松川はエースとしてマウンドを守った。失点は失策絡みだったが、「ピッチングで仲間のミスをカバーする」とギアを上げた。許したのはわずか5安打。「体調不良で休んでいる一人一人も一緒に戦っている気持ちだった」。
 次はいよいよ決勝の舞台だ。「気力、気合、アララガマ魂で頑張る」。初めてとなる春の頂点へ。松川の気合は十分だった。(平安太一)

◆興南、攻守に盤石 名門復活へ手応え
 相手投手を打ち崩せなければ、スクイズと足を絡めた攻撃で点を奪う。投手の窮地は守備が救い、守備が乱れてもエースが踏ん張る。走攻守がかみ合った興南が盤石の試合運びで沖尚との私学対決を制し、3年ぶりの決勝へ駒を進めた。我喜屋優監督は「一戦一戦、経験を積むことで成長している」と名門復活へ手応えを口にした。
 興南は二回、先頭の5番・石川涼が左前打で出塁すると、すかさずバントで送った。具志堅大輝の右前打で1死一、三塁に。続く比屋根雅也は2球、バントの構えからバットを引いて沖尚の守備を確認した。「警戒するそぶりがなかった」(我喜屋監督)と3球目を転がし、先制点を挙げた。
 四回は四球で出塁した石川が盗塁を決めると、具志堅は適時三塁打。抜け目なく追加点を奪った。
 バックも今大会1人で投げ続ける比屋根を支えた。二遊間は三、七回に併殺をきっちり完成させた。八回は二盗を捕手・佐久本一輝が刺した。
 九回は失策から無死一、二塁の窮地を招いたが、比屋根が踏ん張った。4番神里廣之介を中飛に打ち取ると、続く打者を直球主体で連続三振に切って取り、試合を締めた。頂点まであと一つ。主将の比嘉龍寿は「冬から優勝を目指してきた」と静かに闘志を燃やす。チーム一丸で最強の証明を取りにいく。(荒井良平)

◇きのうの結果
▽準決勝
宮古 2―1 豊見城
興南 2―0 沖尚

◇きょうの試合
【北谷】
▽3位決定戦(9時)
豊見城―沖尚
▽決勝(13時)
宮古―興南

豊見城―宮古 逆転サヨナラ勝ちを決め、抱き合って喜びを爆発させる宮古ナイン=1日、北谷公園野球場(仲本文子撮影)
興南―沖尚 2回興南1死一、三塁 比屋根雅也(奥)のスクイズで先制のホームを踏む石川涼(右から2人目)=1日、北谷公園野球場(仲本文子撮影)