沖縄に恩返しを 元bjリーグ高松の岸本さん、教室を始動


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子どもたちを対象にしたバスケ教室を開いている岸本行央さん=4日、宜野湾勤労者体育センター

 「恩返しの学校」という意味を込めた。名前は「Academy of Requital for Kindness」(ARK)。プロバスケットボールチームの高松ファイブアローズで活躍した岸本行央さん(25)が昨年7月、子どもたちにバスケの技術などを指導するARKの活動をスタートさせた。

「プロ選手として得た知識や技術を沖縄に還元したい」。自らを育ててくれた故郷を思い、指導者としての人生を歩み出している。
 興南高、明治大を経て、琉球ゴールデンキングスの練習生としてプロの世界に飛び込んだ。bjリーグの2012―13シーズンから高松でプレーし、13―14シーズン終了後に引退を決意した。
 バスケ選手として「体格もすごくないし足も速くない」と言う。大学の試合でも頻繁にコートに立っていたわけではなく「スターではなかった」と断言する。それでもプロになれたのは「周りの人たちが支えてくれて、努力を続けることができたから」と感じている。だからこそ、沖縄の子どもたちに伝えたいことがある。「感謝の気持ちと努力する心があれば誰にでもチャンスはある」
 指導で心掛けているのは「バスケを楽しむこと」。小学校で競技を始め、中学、高校、大学、プロとステップアップする中で「上手になる人はみんなバスケを楽しんでいる」と確信した。子どもたちを対象にした教室ではさまざまな道具を活用し、練習を楽しめるように工夫している。
 「沖縄には上手な選手がたくさんいてすごくワクワクしている」と子どもたちの成長に期待を抱く。一方で「身体能力やリズム感はずば抜けているが、能力任せになってはいけない」と指摘する。シュートに行くまでのプロセスや仲間をノーマークにする方法など「考えるバスケ」を広めたいと考えている。
 県内では元キングスの澤岻安史さんも子どもたちの育成に携わっているため「一緒に沖縄を盛り上げたい」と力を込める。そして「もっと沖縄のバスケを底上げしたい」と目標を掲げた。
(平安太一)