糸満、決勝逃す 春季九州高校野球


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糸満―九産大九州 四回2死一、三塁で右越えの適時三塁打を放つ糸満の山内聖也=23日、佐賀県のみどりの森県営球場(平安太一撮影)

 高校野球の春季九州大会(第136回九州大会)第5日は23日、佐賀県のみどりの森県営球場で準決勝2試合が行われ、糸満は九産大九州(福岡・推薦)に3―4で惜敗して決勝進出を逃した。

糸満は四回に山内聖也の右越え適時三塁打で2点を先制したが、五回に先発の金城乃亜が連打を浴びて逆転を許した。最終回は得点圏に走者を進めたが、勝利に手が届かなかった。準決勝もう1試合は、龍谷(佐賀)が北村の適時打などで序盤にリードを広げ、九州国際大付(福岡)の反撃を振り切って8―6で勝った。決勝は24日に同球場で行われる。

◆相手投手にかわされた
 上原忠監督(糸満)の話 相手の先発投手にうまくかわされて打てなかった。うちは四球が失点につながったことが痛かった。今大会は終盤に劣勢に立たされていても、落ち着いて自信を持って戦えばチャンスは来ると知った。控えの選手も多く出したので、レギュラー争いが始まればチーム力も高まる。

◆最後まで食らい付く/あと一歩、粘り及ばず
 比嘉良平の打球は左翼線に飛んだ。1点を追う九回2死二塁。長打かと会場がどよめくが、白球はわずかにファウルゾーンへ切れた。「この試合も最後に逆転する気持ちだった」。粘り強く相手投手に食らい付くも、直後に中飛に倒れた。比嘉は「きわどい当たりを打った後、気持ちの切り替えができなかった」とうなだれた。
 変則フォームの相手投手に苦しめられた。「緩い球が多くて打ちづらかった」と比嘉は言う。三回までわずか1安打。それでも先に流れをつかんだのは糸満だった。
 四回に四球と安打で2死一、三塁とし、打席には今大会初スタメンの山内聖也。「ストレートを狙えとアドバイスを受けていた」と右越えの三塁打でチームに先制点をもたらした。「朝に先発を言われたので心の準備ができてなかったけど」と驚いた様子だ。
 五回に逆転を許しても七回に1点を奪い返し、最終回も得点圏に走者を進めた。今大会の糸満を象徴するような粘り強さは最後まで輝きを放った。
 わずか1点差の惜敗に比嘉は「まだまだ実力不足です」と認める。ただ、悔しい敗戦を味わった選抜大会から立ち上がり、九州ベスト4入りと確かな足跡を残した。「どのチームが来ても全力で戦って、また甲子園に戻る」。聖地で校歌を響かせるため、夏の大舞台を目指す決意は揺るがない。(平安太一)