【糸満】1996年の初演以来、ひめゆり学徒隊を題材にしたミュージカル「ひめゆり」を毎年上演している劇団「ミュージカル座」の村上恵子さん(39)と野沢美喜さん(45)が、26日から4日間の日程で沖縄に滞在し、南部戦跡を巡った。2人は「演劇を通して、沖縄戦をできる限りリアルに伝えたい」と思いを語る。
昨年夏の公演では、女子学徒のキミ役を神田沙也加さんが演じた。村上さんは女子学徒や少年兵など4役をこなし、野沢さんも学徒の母親や祖母、従軍看護婦など多くの役を演じた。
今回の沖縄訪問について、野沢さんは「舞台は平らで明かりもある。その中で、どれだけリアルに戦場を表現できるかが課題。証言や映像だけでなく、自分の目で現場のディテールを確認したかった」と語る。
2人はひめゆり学徒隊が動員された南風原町の沖縄陸軍病院壕跡や南城市のアブチラガマ、糸満市の荒崎海岸やひめゆりの塔などを訪ねた。
沖縄陸軍病院壕跡では沖縄戦当時の壕内の臭いを再現した臭気を嗅ぎ、アブチラガマでは岩のごつごつとした感触や暗闇を体感した。
村上さんは「壕の湿度や岩場の感触、音、臭い。細かな部分まで丁寧に演じ、沖縄で感じたことを伝えていきたい」と話し、野沢さんも「多くの人が沖縄戦に関心を持ち、沖縄に足を運ぶきっかけになればうれしい」と語った。
「ひめゆり」は7月16~21日、東京都足立区のシアター1010で上演される。