北部農、初の頂点 OTV杯争奪相撲 高校個人は島袋


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 相撲の第37回OTV杯争奪全沖縄選手権大会が3日、那覇市の安謝新港ふ頭特設土俵で行われ、高校団体決勝で北部農林が、8連覇を狙う中部農林を3―0で破り、初の頂点に立った。同個人決勝は1年生の島袋夢蔵(中部農林)が崎山喜一(北部農林)を退け、初優勝を飾った。

一般個人は山本浩太(沖縄市体協)が制した。中学団体は浦添が3連覇を果たし、同個人は當眞嗣斗(浦添)が連覇した。

◆絶対王者破る殊勲 北部農、心身充実
 これまで絶対的な強さを誇り、高校団体で大会8連覇に挑んだ中部農林。王者の牙城を崩したのは北部農林だった。
 決勝は中農を相手に正攻法で臨み、3―0のストレート勝ちで王座を奪い取った。中堅を務めた島袋凌輔は「絶対に自分たちの代で中農を破りたかった。ここから北農が連覇を重ねていけるように頑張りたい」と意気込んだ。
 北農は先鋒(せんぽう)崎山喜一が寄り切りで先勝。勝てば優勝が決まる島袋は、緊張をほぐすかのように自分に言い聞かせていた。「一発で決める」。言葉通り、低く鋭い立ち合いで相手の体を捉えると、がむしゃらに前へ出て送り出した。
 島袋はチームメートへ向けて両拳を突き出し、ガッツポーズで歓喜を分かち合った。「きょう一番の相撲だった」と笑顔を見せた。
 自信はあった。昨年11月の県高校新人大会も中農の7連覇を阻み、頂点に立った。主将の宮城陽は「優勝して『やれる』という手応えを感じた」と言う。そこで得た自信を糧にOTV杯に照準を合わせ、稽古を積んだ。3月には東京合宿を行い、日体大生の胸を借りた。島袋は「練習量ならどこにも負けない」と胸を張る。
 県高校総体は王者として臨む。宮城は「今回の優勝で浮かれないでまた一から頂点を目指す」と気を引き締めた。
(荒井良平)

◆1年生早くも戴冠 自信深めた中部農・島袋
 高校個人決勝は中部農林の1年生・島袋夢蔵が決勝で北部農林の崎山喜一を退け、入学1カ月でいきなり個人タイトルを獲得した。
 浦添中1年の時、県中学総体で優勝。昨年は1学年下の當眞嗣人らと共に九州中学体育大会で団体の頂点に立つなど、数々の実績を残してきた。
 高校初の大会となった今大会も「出場者は県中学総体で優勝した時のメンバーとあまり変わらない。上位に入れるかもしれない」と自信があった。
 決勝は立ち合いで低く食らいついたが、右上手を巻き替えにいったところで体格に勝る相手に胸を合わされた。前に出られて「一瞬ひやっとした」(島袋)が粘り強い下半身で残すと逆襲に転じ、一気に寄り切った。「まさか優勝できるとは思っていなかったが、自分の相撲が高校でも通用すると感じた」と自信を深めた。
 しかし団体は2戦2敗。「団体も勝ちたかったので悔しい。団体でも力が出せるようにしたい」と中部農林の王座奪還へ意気込んだ。

高校団体決勝 送り出しで勝利し、優勝を決める北部農林の島袋凌輔(右)=3日、那覇市の安謝新港ふ頭特設土俵(諸見里真利撮影)
高校個人決勝 前に出る中部農林の島袋夢蔵