田上、バンタム級優勝 県高校春季ボクシング


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 ボクシングの第21回県高校春季大会最終日は3日、沖縄水産高で8階級の決勝を行い、13選手が覇を争ったバンタム級は田上慎馬(沖水)が制し、ライト級は1年生の屋嘉部悠大(同)が優勝を飾った。

同時開催された第2回県アンダージュニア選考会では、岸本有彩(東江中)と比嘉政太(真志喜中)がアンダージュニア王座決定戦九州選考会(6月20、21日・宮崎県)へ派遣されることが決まった。

◆田上 運動量で接戦制す
 リングで勝ち名乗りを受け「よっしゃ」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。ハイレベルな攻防となったバンタム級を制したのは田上慎馬。「判定を待つ間、勝っているか分からなくて怖かった」。背筋を伸ばしつつ、屈託なく笑った。
 筋力トレーニングの影響で体重が増え、本来のフライ級から1階級上げて臨んだ。164センチと小柄な田上。身長もリーチも上回る相手に対し、打っては離れる持ち味の「ヒットアンドアウエー」で応じた。軌道の速いストレートを食らわないよう警戒しながら誘い出し、打ってきたらさっと後退する。そして相手が打ち終わりに体が流れた瞬間を狙い撃ち。「後半に相手が疲れてきたところで自分はしっかり動けていた。そこで差をつけられたのかな」と勝因を自己分析した。
 切れのある前後の動きは、小学4年から中学1年までやっていた剣道が下地にある。さらに昨年11月の新人大会フライ級決勝で大湾硫斗(美来工科)に敗れてからは、パンチ力強化に加えて手数を増やすことにも取り組み「押し負けないようになった」と語る。
 九州、全国舞台の懸かる県総体は本来の階級に戻し「大湾に勝ちたい」と意気込む。現在3年生。高校でボクシングをやめるつもりと言い「悔いを残さないようにしたい」と集大成の夏を見据えた。(大城周子)

◆屋嘉部、土壇場で底力発揮
 ライト級は沖水の1年生、屋嘉部悠大が土壇場から底力を見せた。前日は緊張でなかなか寝付けなかったと言い「めっちゃうれしい」と高校デビュー戦の勝利を喜んだ。
 第2ラウンドだった。接近戦に出た相手に「打ち合いで負けたくなかった」と付き合った結果、引いた一瞬を捉えられてダウンを取られた。「がむしゃらにいこう」と無心で臨んだ最終ラウンド、スタミナ切れの相手にフックなどで連打を浴びせ形勢を逆転させた。
 格闘技好きの父の影響で、中学1年から平仲ボクシングスクールジムに通う。今回は、受験で9キロ増えた体重を3週間で戻したこともあり状態は完璧ではなかった。上下の打ち分け、走り込み、筋トレと課題を並べ、県総体では「KOを狙って優勝したい」と快勝を誓った。

バンタム級決勝 最終ラウンドで激しく打ち合う沖水の田上慎馬(右)と陽明の与那覇壱世=3日、糸満市の沖縄水産高(又吉康秀撮影)
ライト級決勝 ストレートで攻め込む沖水の屋嘉部悠大(右)