追体験で平和実感 宮里中野球部 親子80人、戦跡巡り


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南部戦跡での平和学習に参加した宮里中野球部員と保護者=4日、糸満市摩文仁の島守の塔

 【糸満】南部戦跡を回り、沖縄戦や平和への思いを巡らせる平和学習が4日、糸満市内で開かれ、沖縄市の宮里中学校野球部(上唐健顧問)の部員と保護者約80人が参加した。大型バス2台を貸し切り、轟の壕、魂魄の塔、韓国人慰霊之塔、島守の塔などを訪れた。

 今回の取り組みは、県観光ボランティアガイド友の会の照屋盛行さんが昨年8月に実施した「親子3世代の平和学習」がきっかけ。参加者の一人が野球部員の保護者で、平和学習を提案し実現した。
 今回もガイドを務めた照屋さんは「部活動単位で平和学習に取り組むのは県内でも珍しく、有意義だ。取り組みが広がってほしい」と期待した。
 照屋さんは轟の壕で「日本兵が住民の食べ物を奪い、泣きわめく幼児を射殺する出来事が起きた」と説明。喜納滉野君(15)は「優しかったはずの人も残虐な人間へと変えてしまうのが戦争なんだと実感した」と話した。
 主将の伊波俊弥君(14)は「暗くて足場が悪い壕の中に、600人余りの人が隠れていたとは考えられない。普段何げなく『死ね』とか『殺す』という言葉を使うが、軽々しく口にしてはいけないと思った」と述べた。
 上条誉人君(14)は「僕らと同世代の若者も戦争に駆り出されたと聞き、平和な時代に生きる自分たちは幸せだと思った」と語った。
 保護者会会長の本部仁一さんは「一人一人が足元の歴史を学び、視野を広げるきっかけにしてほしい」と期待を込めた。