県博物館協会の研修会が14日、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館であり、安斎科学・平和事務所長の安斎育郎立命館大名誉教授が「沖縄戦の“記憶”の保存と継承のあり方」と題して講演した。
安斎氏は公立博物館や資料館の在り方に関して「為政者の価値観によって保存すべき事実と保存すべきでない事実を分類すべきではない」と述べた。
立命館大国際平和ミュージアムの終身名誉所長も務める安斎氏は、同館は過去の歴史と誠実に向き合うことを展示原理とし、戦争の被害だけでなく加害の側面も展示していることを紹介。「博物館の展示は当然事実であるべきだが、事実の選択や扱いには博物館の価値観や歴史観が反映する」と話した。
その上で戦争博物館「大阪国際平和センター」(ピースおおさか)の展示から日本軍の加害行為の展示が消え、大阪空襲に力点が置かれる内容に変わったことに触れ「その思想を批判的に点検することが必要だ」と述べた。
記憶の継承については「平和とは暴力がない状態や暴力をなくす社会的努力が息づいている状態。(来場者に)自分に何ができるかを考え、一歩踏み出してもらうことが博物館の役割だ」と話した。