【島人の目】ファッションパジャマ?


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 僕は赤いパジャマを2着持っている。1つは大分前にイタリア人の妻が買ったもので、真っ赤な色に驚いてずっとたんすの奥にしまっていた。もう1つはナポリで長いロケをした時に僕自身が買った。パジャマを忘れて街に買いに出たら赤い色の物しかなかったので仕方なく購入したのだ。
 イタリアでは赤はれっきとした男の色である。もちろん女性も使うが服や靴や装飾品など、多くの男物にも赤が使われる。僕はそのことを知っていたが、妻が買ってくれた男物の赤いパジャマには長い間かなり抵抗があった。しかしホテル住まいだったナポリでは、パジャマがなければ困るので渋々真っ赤なそれを着て寝ていた。
 ナポリでの仕事を終えて家に帰ると妻が荷物を見て「あ、とうとう赤いパジャマを認めたのね」と笑った。そうやって僕のパジャマは季節にも合わせて全部で6、7着になり、今ではほとんど気にしないで赤いパジャマも着ている。もちろん妻が買ったものも。
 赤いパジャマ姿の僕は人が見たら噴飯ものだろうが、華やかで派手な色合いの服飾などもさりげなく、あるいはさっそうと着こなすイタリア人の男には、真っ赤なパジャマもけっこう似合いそうな気がする。
 イタリア人は男も女も若者も老人も子供も、誰もが、原色を含むすべての色合いの感覚に優れている。そういう人々のセンスが下地の1つにあって、あのすばらしいイタリアファッションが生まれてくるのである。
(仲宗根 雅則、イタリア在住、TVディレクター)