沖大、優勝逃す 九州地区大学野球


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西日本工業大―沖縄大 2回1死一、三塁でスクイズを阻止する沖大の山城翼。捕手・新垣太一=25日、沖縄セルラースタジアム那覇(仲本文子撮影)

 大学野球の第93回九州地区選手権大会決勝トーナメント最終日は25日、沖縄セルラースタジアム那覇で決勝戦を行い、沖縄大(沖縄地区2位)は2―5で西日本工業大(福岡・長崎地区3位)に敗れて優勝を逃した。

沖大は初回から得点圏に走者を進めたが、好機で一本が出なかった。エースの山城翼は何度もピンチを迎えながらも好守備で切り抜けて得点を許さなかった。沖大は六回に新垣太一の左前打で1点を先制すると、八回に亀川良太のスクイズで1点を追加した。しかし直後に山城翼が長打を含む5安打を許して逆転された。西工大は昨年の春季九州大会に続いて栄冠を手にし、2年連続で全日本選手権大会の出場を決めた。

◆前半のチャンスで…
 大城貴之・沖縄大監督の話 前半のチャンスで得点したら、また違った展開になっていた。相手投手の気迫あふれる投球に、うちが勝負で勝てなかった。(山城は)自分のペースで投げていた。八回は相手の攻撃に火が付いて勝ち負けがはっきり出た。

◆苦しい試合だった
 武田啓・西日本工業大監督の話 エラーが四つもあって苦しい試合だった。強攻策やスクイズでの失敗など采配が裏目に出ていた。それでも、七~九回を制した方が勝つという練習をしてきて、その通りにできた結果だと思う。(先発の)中嶋もよく踏ん張った。

◆エース・山城 八回崩れる/2点リード守り切れず
 つかみかけていた白星、手のひらからこぼれ落ちた。2点リードで迎えた八回裏、エースの山城翼が5安打を浴びて5点を失った。「自分の仕事ができずに申し訳ない」。力投したエースは肩を落とした。
 初戦から1人で投げ抜き、決勝も先発のマウンドを託された。試合が雨で1日延びたことで、「いい感じで(疲れが)抜けて状態は良かった」。打者の手元で変化するツーシームを主体に凡打の山を築かせて、相手に付け入る隙を与えなかった。二回は1死一、三塁のピンチを迎えた。スクイズを狙った相手の打球が目の前に転がると、うまく処理して走者の生還を阻止した。直後に二走をけん制で刺し、「相手の流れを止められた」とうなずく。
 序盤に好機を逃し続けた打線は六回に粘りを見せ、新垣太一の左前打で1点を奪った。「翼に先制点をあげたいと思ってがむしゃらに打った」とエースを援護したい一心でバットを振り抜いた。
 山城翼は毎回のように走者を背負いながらも、バックの好守備にも支えられて得点を許さなかった。八回は「もう少し間を置いて投げるべきだった」と、ほんの少しだけ歯車が狂った。神宮の舞台に立つ目標は秋に持ち越しになったが、高い実力を示すには十分すぎる活躍だった。「あと一歩の壁を乗り越えられるように、ここから挑戦します」。エースは新たな誓いを胸に、前進し続ける。(平安太一)