戦後70年の節目となる6月23日の「慰霊の日」に、県教育委員会(泉川良範委員長)は県内の高校生による平和行進など平和教育に重点を置いた事業を新たに行う。一方、県は同日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で開く沖縄全戦没者追悼式で、子どもたちが合唱する場を設ける。例年は献花の間に森山良子さんの「さとうきび畑」のCD音源を流しており、追悼式の中で合唱が披露されるのは初めて。戦後70年になり、体験者が高齢化する中、県教委と県は平和への思いを継承し、次世代との非戦の誓いの共有に向けた取り組みに力を入れる構えだ。
高校生による平和行進は糸満南小学校から出発し、途中で戦没者の遺族会の平和行進と合流する。那覇以南の県立高校から生徒約100人の参加を呼び掛けている。「慰霊の日」に県教委の事業で高校生が平和行進をするのは初めて。
諸見里明県教育長は「沖縄戦の記憶の風化が叫ばれる中、沖縄戦の実相を子どもたちに伝えていかなくてはいけない。県の未来を創造するために歴史を学ぶのは基本だ」と強調した。
全戦没者追悼式での合唱は、地元の糸満市立西崎小と南城市立大里南小の3~6年生の計約40人が参加する予定。平和の尊さを歌った「月桃の花」など3曲が披露される。
県平和援護・男女参画課によると、ことしの追悼式は次世代の子どもたちに平和の尊さを継承していくことがテーマ。これまでも地元の小中高生は献花で参加していたが、課内で「参加の場面を増やすべきだ」との声が上がり、合唱での参加を決めた。同課は「子どもたちの歌声を通じ、平和継承への思いを伝えたい」と意気込む。(中里顕、安富智希)