テニス・比嘉(那覇国際)初の覇者 県高校総体第5日


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県高校総合体育大会は3日、県内各地で4競技を行い、テニスのシングルス男子は那覇国際の比嘉真吾が制し、男女通じてテニスで同校初の優勝者となった。同女子はリュー理沙マリー(沖縄尚学)が3連覇を達成した。

ダブルスは男子を伊佐彰友・石橋慶樹組(同)が、女子をリュー・西里夏子組(同)が制した。バドミントンはシングルスの決勝まで行い、男子は上原尚仁(南風原)、女子は上原和子(糸満)がそれぞれ頂点に立った。ボクシングは8階級の決勝があり、フライ級は大湾硫斗(美来工科)が昨年のライトフライ級に続く優勝を飾った。ラグビーはコザが決勝で名護を下し、3年ぶり12度目の栄冠を手にした。

◆得意技で攻めまくる/男子・比嘉
 那覇国際テニス部16期生の比嘉真吾が、同部初となる県総体優勝の快挙を成し遂げた。去年は6位、ずっと強豪を追う側にいた。失うものはない。回り込んでからのフォアハンドの逆クロスという失点の危険も伴う攻めの得意技を中心に、打って打って打ちまくる。8―0のストレート勝ちで沖尚の伊佐彰友を下した。
 「支えられている」。前日2日、準々決勝は同校対決で主将の大村直毅と対決して8―4、準決勝は8―6と競り合い、仲間の励ましがありがたかった。この日、緊張を挑戦者の気持ちに切り替え、調子を上げて臨んだ3日の決勝。ストロークで押して相手のミスを誘う持ち味を存分に生かした。「ずっと調子が悪くてここまで来られると思ってなかったし、仲間の応援は大きかった」
 学校の部活に籍だけ置いて外部のスクールに通う強豪選手も多い中、那覇国際は比嘉をはじめ「全員が必ず部活に来る」(宮城靖監督)。スクールに行くのは部活後だ。練習の組み立てや対戦相手調整などを一手に担って部を支え、男子複で3位入賞した大村は「(比嘉の優勝は)誇らしい、最高です」と喜んだ。
 初出場となる全国総体には初戦突破の目標を掲げ、敗れた仲間の思いも連れて行く。
(石井恭子)

◆緊張超え、王者の執念/女子・リュー
 リュー理沙マリーは追われる者の恐怖に苦しんだ。沖尚対決で下地奈奈を迎えた決勝、序盤から調子が上がらない。6-4当たりから下地がにじり寄り、7-6に迫る。終始満面に焦燥を浮かべたがマッチポイントを取ると、冷静なリューには珍しい気迫のガッツポーズを決めて叫んだ。
 国内外で歴戦する王者がその技術と執念で県総体3連覇を達成し、頂点を狙う全国総体への切符を再び獲得した。
 「追われると回りの目が気になって」。全国のために必ず1番を取らねばならない県総体独特の緊張感が、体を重くしていた。「打つのがつらい。取れるゲームも取れずに流れがつかめなかった」。速い展開で相手を先んじて常に主導権を握る持ち味が出てこない。それでも勝つのが王者たるゆえんだ。「気力でボールをコートに入れて、それに徹した」
 3連覇にも「通過点なので特別な感情はない」と冷静だ。昨年3月の全国高校選抜で準優勝は経験した。「体力をつけ、集中力を切らさないようにする」。集大成となるこの夏、全国の頂点を取りに行く。

男子単決勝 強烈なフォアハンドで攻める那覇国際の比嘉真吾=3日、奥武山庭球場(諸見里真利撮影)
女子単決勝 マッチポイントを奪い雄たけびを上げる沖尚のリュー理沙マリー