知事訪米 米声明、異例の対応 国務省、警戒感あらわ


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翁長雄志知事との対話継続について言及を避けるハーフ戦略広報上級顧問=5日、米国務省

 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米国務省は3日の翁長雄志知事と米政府当局者との会談直後、報道機関向けに声明を出したことについて「過去に出したことはない」と説明し、県知事面談としては初めて声明を出し、歴代知事訪米とは違う異例の対応を取ったことを琉球新報の取材に明らかにした。

 国務省は「私たちが知事に何を言ったのかを説明することで、メディアの役に立ちたかった」と説明した。会談直後に出したことについては「(新聞印刷の)締め切り」を挙げており、日本メディア向けの対策だったことを事実上認めた。
 沖縄県知事の訪米要請行動はこれまで、西銘順治、大田昌秀、稲嶺恵一、仲井真弘多の4氏が計15回実施しており、翁長氏の訪米は16回目となった。今回、国務省が知事訪米で初めて声明を出したことは翁長知事の発言を警戒し、異例な対応を取ったことを鮮明にした。
 一方、ハーフ戦略広報上級顧問は5日の記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を断念するよう伝えた翁長雄志知事との対話継続について「私たちは知事と会談したばかりだ。未来の会談についての情報を持っていない」と述べるにとどめ、言及を避けた。一方、翁長知事は今後も粘り強く米側と直接交渉する意向を示しており、安倍政権と足並みをそろえ辺野古移設を「唯一の解決策」とする米政府のかたくなな姿勢があらためて露呈した形だ。
 ハーフ報道官は「私はさまざまな立場の人たちと対話する大使館の当局者を知っている」とも述べ、在日米大使館や在沖米国総領事館での対応を示唆した。