FC琉球、鮮やか逆転 サッカーJ3第16節


社会
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後半ロスタイムに決勝点を挙げ、喜ぶFC琉球のMF富所悠=14日、県総合運動公園陸上競技場(仲本文子撮影)

 サッカー明治安田J3のFC琉球は14日、Jリーグアンダー22(U22)選抜と県総合運動公園陸上競技場で第16節を戦い、2―1で勝った。

琉球は先制されたが前半42分、MF田中恵太のゴールで追い付くと、試合終了間際にMF富所悠が決め、逆転で4試合ぶりの勝利を飾った。琉球は5勝4分け6敗で勝ち点19、順位は13チーム中8位から7位に浮上した。観客は701人だった。次節は藤枝MYFCと21日午後3時から、静岡県の藤枝総合運動公園球技場で対戦する。

(2)沖縄県(琉球2勝)
琉球 5勝4分け6敗(19)
2―1(1―1,1―0)
U―22 2勝3分け10敗(9)
▽得点者【琉】田中恵(5)富所(2)【U】石田(1)
▽観衆 701人

 【評】FC琉球が最終盤に逆転し、勝利を収めた。琉球は序盤、主導権を握るが前半24分、ミスから失点。同42分に田中恵のゴールで追い付き、前半を折り返す。後半は互いにチャンスをつくるが決め切れない。試合終盤、琉球が猛攻を見せ、カウンターから富所が決めて逆転した。(荒井良平)

◆藤澤、初先発 絶妙アシスト
 今季初先発を果たしたFC琉球のMF藤澤典隆が積極的なプレーでチームをけん引した。前半42分、華麗なヒールパスでMF田中恵太の同点ゴールをお膳立て。「チームが勝てたのが一番良かった」と喜んだ。
 昨季、リーグ戦33試合に出場。不動のトップ下として活躍したが、今季は新加入の松尾昇悟からポジションを奪えずにいる。
 第12節のカターレ富山戦は途中出場したものの、パフォーマンスが低調で再びベンチに下げられる屈辱も味わった。「悔しかったが腐ったら意味がない」と黙々と練習をこなし、出場機会をうかがっていた。
 巡ってきたチャンスに「これを生かさないと次はないという気持ちだった」と闘志を燃やした。1アシストと結果を残し「もっとできると思うので次に向け頑張りたい」と前を向いた。

◆底力が結果に
 薩川了洋監督(FC琉球)の話 後半ロスタイムに(点を)入れると気持ちいいね。それをうちは3回も相手にプレゼントしているんだから優しいチームだね。(試合は)暑い中、選手がよく走ってくれた。昨季より、選手間の競争意識が高まっている。チームの底力が少しずつ結果に表れている。

◆力不足を露呈
 高畠勉監督(U22選抜)の話 暑さでタフなゲームになった。選手たちはよく戦ったが、ロスタイムに逆転を許し、力不足という結果になった。「惜しかった」で終わらせることなく、チームに持ち帰って成長につなげてほしい。

◆ロスタイム 富所千金弾
 1―1で迎えた後半ロスタイム。FC琉球の選手たちは最後まで勝利を目指して走り続けていた。しかしMF小幡純平のシュートはクロスバーの上。DF浦島貴大のオーバーヘッドも不発。猛攻を見せるが、ゴールを割れずにいた。
 残り時間わずか、小幡がドリブルで縦に切り裂き、中央のMF富所悠へパス。富所がゴールを射抜き、ラストワンプレーで試合を決めた。劇的な勝利に普段はクールな富所も笑顔で仲間に駆け寄り、喜びを爆発させた。「暑い中、みんな頑張っていたので最後に決められて良かった。気持ち良かった」と振り返った。
 相手はJ1、J2の若手から選出されたU22選抜。現在、最下位だが今節はJ1の試合がないため、リオデジャネイロ五輪を目指すU―22日本代表で10番を背負った中島翔哉(FC東京)ら、次代のスター候補が名を連ねた。圧倒的な個の力を誇る相手に、琉球は臆することなくぶつかった。
 琉球は今季3試合(第8、9、14節)で後半ロスタイムに失点し、敗れていたが“魔の時間帯”を克服した。富所は「内容が良くても勝てない試合が続いていたが、ここから勝ち点を積み上げていきたい」。この逆転勝利をきっかけに、上位浮上を誓った。(荒井良平)