積徳高等女学校・ふじ同窓会が解散 高齢化で慰霊祭困難


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戦没者追悼法要でふじ同窓会の解散を表明する新垣道子会長=23日、那覇市松山の大典寺

 戦後70年を迎え、沖縄戦体験者や遺族の高齢化から慰霊祭を断念する動きが出ている。積徳高等女学校の「ふじ同窓会」は23日の戦没者追悼法要で解散を表明した。

旧制第三中学校の3年生を祭る本部町の「三中学徒之碑」も高齢化のため、88人のみ霊を名護高校敷地内にある「南燈慰霊之塔」に合祀(ごうし)した。戦後70年の時の経過に悩む同窓会や遺族会は多い。一方で慰霊祭をはじめとした体験者の思いを次世代に引き継ぐための模索も始まっている。
 ふじ同窓会の新垣道子会長(89)は高齢化による活動継続の難しさを説明し、解散を告げた。「今までの活動に誇りはあるが、戦没者のことを思い出すと涙が出てきた」。言葉を詰まらせながらの表明だった。来年以降は自由参拝になる。
 白梅同窓会の中山きく会長(86)も自由参拝への切り替えを視野に入れる。沖縄尚学高校の生徒による戦跡ガイドの取り組みなどはあるが、慰霊祭運営そのものを子どもたちに継承することはできないからだ。一方で同窓会協力会(翁長健治会長)はビデオで慰霊祭の様子や参列者の思いを記録する作業を23日から始めた。翁長会長は「映像を慰霊祭の継承や平和学習などに生かしたい」と話す。
 戦時遭難船舶遺族会は23日、10年以上実施していない洋上慰霊祭開催について参加者にアンケートした。大城敬人会長代行(74)は「子や孫の世代で体験を風化させないためにも、洋上慰霊祭を行って彼らに参加してもらいたい」と語った。
 戦後世代への継承に取り組んできたひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長(87)は「資料館ができて若い人たちが継承してくれている。これからも慰霊祭は続いていくだろう」と語る。ふじ同窓会が解散を決めたことには「どこも高齢化している。慰霊祭も学校ごとにできるところは開催しながらも、それとは別に全学徒の慰霊祭ができるようになれば良い」と話した。