「左翼に乗っ取られている」 自民、党勉強会で県内2紙批判


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 【東京】25日に自民党本部で開かれた自民党若手議員による勉強会「文化芸術懇話会」で、党所属の長尾敬衆院議員(比例近畿)が琉球新報と沖縄タイムスの報道に対し「左翼勢力に乗っ取られてしまっている」などと批判していたことが26日、明らかになった。大西英男衆院議員(東京16区)も「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番だ」などと述べ、勉強会で講演した元NHK経営委員で作家の百田尚樹氏に対し、経団連に働き掛けるよう要請した。政権に批判的な報道機関に圧力をかけ、言論を封殺しようとする自民党の姿勢が浮き彫りとなった。

 参加者などによると、長尾氏は沖縄メディアへの批判を展開した上で「もはやタイムスと新報の牙城の中で沖縄世論のゆがみ方がある。先生ならばこの世論を正しい方向に行くためにどういうアクションを取るか」などと百田氏に質問した。百田氏はこれに答える形で「沖縄2紙はつぶさないといけない」などと答えていた。長尾氏はさらに沖縄に対して「沖縄の特殊なメディア構造をつくってしまったのは戦後保守の堕落だった」とも述べた。
 百田氏は長尾氏らの質問に対し「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。基地の周りに行けば商売になるということで、どんどん基地の周りに人が住みだした」などと米軍相手の商売目的で普天間飛行場の近隣に住民が住み着いたとの誤った認識を語った。「沖縄の米兵がレイプ事件を起こすことがある。けれども米兵が起こしたその犯罪者よりも、沖縄人全体で、沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方がはるかに率が高い」などと述べ、県民を蔑視する発言もしていた。
 26日の衆院平和安全法制特別委員会でも、この勉強会でのやりとりについての質疑があり、審議が一時中断するなど紛糾する場面もあった。同日午後の委員会で浜田靖一委員長は「確認したところ、そのような趣旨の発言があったことが分かった。甚だ遺憾だ」と事実関係を認めた。
 一方、安倍晋三首相は同委員会で事実関係を確認していないとした上で「報道が事実なら大変遺憾だ」と述べたが、謝罪はなかった。