百田尚樹氏は性的暴行の発生率について、在沖米兵に比べて県民の方がはるかに高いとの発言をした。2012年、13年、14年に米軍人・軍属が性的暴行で県警に摘発された件数は1件、0件、1件だった。12年に摘発された日本人は16件に上るなど件数だけで比較すれば、米兵が特別に凶悪との印象は受けない。
だが公務員であり日米地位協定で守られている米兵と、一般県民を同列に比較することを疑問視する声がある。米兵による性犯罪に詳しい宮城晴美氏は「性的暴行の起訴率も十数%という米兵と日本人とは罰せられ方が違う」と話す。
性的暴行の発生件数と認知件数には大きな開きがあるとの指摘もある。捜査関係者は「性犯罪は通報されない事案も多く、認知件数は氷山の一角だ。殺人のように発覚しやすい犯罪の発生率が低いというならともかく、性犯罪の発生率が低いから良いという話にはならない」と語る。
基地内で発生した性犯罪は「基本的には見えない」(同捜査関係者)との声もある。
実際、県警の犯罪統計に基地内で発生した性的暴行は含まれていない。10年10月~11年9月の1年間に在沖海兵隊基地内で発生した性的暴行事件は67件だったと米海軍省と海兵隊本部が発表している。
宮城氏は在沖米兵の性的暴行の発生率は不明としながら「そもそも単純に比較するものではなく、戦後70年間、米兵が女性に好き放題してきた歴史を考えなければいけない」と強調した。