草食男子の接し方は? 自分の個性に生きるって決して悪くない


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 私の女友達に最近好きな人ができたそうです。へえ、よかったねと返したら、彼がなかなか煮え切らないから相談したいと。何度もデートしてるのになにも言ってこない。でもメールすれば返事が来るし、会ってもくれる。草食男子の接し方がわからない。
 草食男子って2006年に生まれた言葉だそうですね。すっかり私たちの生活に馴染んでいるので、まだ10年も経ってないだなんて驚きました。

 さらに意外なのは、コラムニストの深澤真紀さんが初めてこの言葉を名付けたときは、ほめ言葉として使ったということ。「恋愛やセックスにがつがつせず、女性とも対等な関係を持て、家族や地元を大事にする若者」というポジティブな表現だったそうです。だけど今や私たちは、消極的だとか受け身だとか、ネガティブな表現でしか、まず使わない。
 深澤さんは、この誤解がなかなか解けないのがもどかしいようですが、この本来の意味の若者って、残念ながら男女問わずなかなか見かけないですよね。こういう立派な若者より、シャイで女性に近づけない男性を、周りにちらほら見かけるようになった。彼らの姿が、草食べてるという表現とばっちりはまってしまったのが、この言葉のブレイクの理由だったのでしょう。
 彼らを否定する風潮は強いです。少子化や不景気の象徴とされてしまっている向きもある。だけど、男らしくあれ、男は女を追いかけるもの、というジェンダーから解放されて、趣味や仕事に生きる男性が増えてきたのかなと思うと、決して悪くはない。それは、もちろん女性にもいえることです。「昔はよかった」なんていってないで、今この社会にいる人たちを互いに認めていけたら、多様性を認める世の中になっていければなぁと、ぼんやり思うのです。
 件の友人からは、しばらくして、「恥ずかしいけど、ちょっと今度手を握ってみるわ!どうせ、いつか死ぬし!」と力強いメールがきて、そのたくましさとポジティブさに、思わず一人で大笑いしてしまいました。
 と同時に、その男性、周りの女性たちからは、腰抜けと言われてしまっているそうで…女性たちの容赦のなさに苦笑しつつも、友人とうまくいってくれればと応援しています。
 (品川マキ・ライター)
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品川マキのプロフィル
 しながわ・まき フリーランスライター。東京都出身。アメリカで約1年フラフラした後、フリーに。一日一肉食。学生時代のあだ名は「肉娘」。映画好き、アメリカ映画大好き。ハリウッド&日本の芸能ゴシップチェック、ツイッター徘徊を日課としています。
(共同通信)

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品川マキ