興南と糸満、きょう決勝 県高校野球


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 第97回全国高校野球選手権沖縄大会は18日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝を行った。第1シードの興南と3連覇を狙う沖縄尚学の対戦は、興南が沖尚を3―1で破り、甲子園春夏連覇を果たした2010年以来となる5年ぶり18度目の決勝進出を決めた。もう1試合は今春の甲子園に出場した糸満が宮古に7―2で快勝し、2年連続5度目の決勝進出を決めた。決勝は19日午後1時から同球場で行われる。

 興南は一回に2死一塁から具志堅大輝の二塁打などで3点を先制し、エース比屋根雅也が1失点完投でリードを守り切った。計13安打と猛打を発揮した糸満は四回までに7点を奪って主導権を握り、宮古勢初の甲子園出場を目指した相手を退けた。

◆興南、王者復活へ王手 比屋根、凡打の山築く
 興南2点リードの九回裏、沖尚は2死二、三塁。一打出れば逆転のピンチにも2年生左腕・比屋根雅也は笑顔だった。「体力はまだ大丈夫。たとえ延長になっても自分が投げ抜く」と集中力を切らさなかった。最後の打者を三ゴロに打ち取ると、マウンド上で小さくジャンプし、勝利を喜んだ。
 春のリベンジに燃える沖尚を4安打に抑えた。スライダー、ツーシームを内外に投げ分け、直球で勝負。凡打の山を築いた。六回、四球からピンチを招き、失点したがその後も丁寧な投球を続けた。
 粘投のエースを同じ2年生が助けた。初回2死二、三塁で具志堅大輝が打席へ。打力を買われて今大会5番に起用されたが、ここまで9打数2安打と調子が上がっていなかった。
 試合前、比屋根から「きょうは絶対打てよ」とハッパを掛けられ「比屋根のために打つ」と燃えた。内角高めの直球を右中間へはじき返し、2点適時打。三塁手の我那覇真は四回、相手のセーフティーバントに反応良く突っ込み、アウトにするなど好守でもり立てた。
 夏の県大会決勝は、甲子園春夏連覇を成し遂げた2010年以来。当時小学6年だった比屋根にとって興南は憧れの存在だった。その憧れのユニホームに袖を通し、甲子園を懸けて糸満と戦う。比屋根は「先輩たちに恥じない投球をしたい」と誓った。(荒井良平)

◆糸満、13安打打ち勝つ 機動力だけじゃない
 機動力だけじゃない。夏の糸満は“打てる”―。ここまで全試合2桁安打で勝ち上がった糸満は準決勝でも打線が爆発。13安打7得点で打ち勝ち、春夏連続の甲子園へ王手をかけた。
 初回、2番岡田樹が二塁打で出塁すると、打席には主将・池間誉人。外角の直球を捉えた。「逆らわずに持っていけた」と左前へ適時打を放ち、先制点を奪った。四回は2死満塁から中越えの適時三塁打で走者一掃、3点を追加。この回でリードを7点とし、試合を決めた。
 秋の九州大会で準優勝。選抜大会の切符を手に入れたが、初戦で天理(奈良)に敗れた。課題は打力。「せっかくの機動力も塁に出られなければ使えない」(池間)と痛感させられた。
 それまで実戦形式の練習が中心だったがフリーバッティングに時間を割き、打撃を磨いた。再び甲子園に挑戦し、春の悔しさを晴らすために。
 努力が夏に実を結んだ。準決勝も各打者が宮古先発・松川竜之丞の直球を引きつけ、逆方向へ鋭い打球を飛ばした。
 甲子園の前に、借りを返さなければいけない相手がいる。チャレンジマッチ、0―3で敗れた興南だ。上原忠監督は「男の子だし、みんな悔しさを感じながらやってきた」。決勝で宿敵を倒し、もう一度憧れの舞台に立つ。(荒井良平)

興南―沖尚 沖尚を被安打4に抑え、完投した興南の比屋根雅也=18日、沖縄セルラースタジアム那覇(又吉康秀撮影)
糸満―宮古 4回糸満2死満塁、走者一掃の適時三塁打を放ち、追加点を奪う池間誉人=18日、沖縄セルラースタジアム那覇(普久原裕南撮影)