空手個人形、島袋が8強入り 近畿総体


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 【近畿総体取材班】全国高校総合体育大会「君が創る近畿総体」第5日は1日、和歌山県などで行われて県勢は4競技に出場した。ボクシングはフライ級の大湾硫斗(美来工科)とライト級の玉城康平(沖縄水産)が準々決勝を戦い、判定で勝利してベスト4に駒を進めた。空手道の男子個人形では、島袋佑哉(コザ)がベスト8進出を決めた。

団体組手男子の前原と同女子の浦添はベスト16まで勝ち上がったが、8強入りは逃した。陸上は男子走り高跳びの友利響平(宮古総実)が予選で2メートル03をクリアして決勝に進んだが、決勝は記録なしに終わった。大会第6日の2日はレスリングやハンドボールなど9競技に県勢が出場する。

◆男子個人形・島袋 決めの瞬間、パワー爆発
 空手男子個人形の島袋佑哉(コザ)が強豪相手の3、4回戦を堂々勝ち上がり、8強入りした。指定形は得意なニーパイポ。大舞台に勇んで動きに多少焦りも出たが、落ち着いて修正し、いつもの自分の形に徹した。持ち味のパワーが引き立つよう、合間にしっかり脱力して決めの瞬間に力を凝縮、爆発させた。
 「最後のインターハイなので思い切り楽しんで臨んだ」。1、2回戦を5―0の完勝で終えて臨んだ3回戦の相手は東京チャンピオン、関東大会3位の山崎郁弥。4―1で下して「自信を付けた」。4回戦も全国代表の選手と当たるが落ち着いて競技し、3―2で勝利する。過度な音を出すことを禁ずる新ルール適用後、初の全国総体となったが「ごまかしが利かなくなって、スピードやパワーなどの本当の力が求められる」。
 これまでの最高順位は全国選抜の5位だ。日本一を目指してやって来た。3回戦で敗退した昨年の全国総体から大きく成長して戻った。空手発祥の地である沖縄の誇りも忘れない。「しっかり見せつけるつもりでやっている」。2日、頂点を目指す最後の闘いに挑む。(石井恭子)

◆ボクシングフライ級・大湾 得意の「右」で完勝
 最大の武器である右ストレートが何度も相手の顔面を捉えた。フライ級の準々決勝。大湾硫斗(美来工科)は安定したボクシングで何度も相手を追い詰め、判定で3―0と完勝した。それでも「あまり良くなかった。勝ててほっとしている」と表情を緩めることはなかった。
 1回の立ち上がりは「駆け引きをしていた」と互いに攻めることはなかった。カウンターを得意とする相手だったため、「いつものように行ったら合わせられると思った」と慎重になり過ぎていた。レフェリーから積極的に戦うように言われると、先に大湾が仕掛けた。距離を取って右ストレートや左フックを当て、ロープ際に追い込んで連打を浴びせた。「相手を見過ぎては駄目だ。行くしかない」と気持ちを前面に押し出した。
 2回はカウンターを的確に当て、3回には再びロープ際で攻め立てた。常に優位に立っているかに見えたが、「(相手は)追い込んでも(攻撃を)合わせてくるので危ないという気持ちは消えなかった」。強い警戒心を抱きながら、最後まで戦い抜いた。
 昨年のベスト8を上回り頂点に一歩近づいたが、「一戦一戦を勝つだけ」と気持ちが緩むことはない。準決勝の相手となる井上(宮崎・日章学園)とはこれまで2度の対戦があり、1勝1敗で星を分けている。「明日が勝負だ。絶対に勝ちたい」と闘志をみなぎらせた。
(平安太一)

◆ボクシングライト級・玉城 強気に攻め激闘を制す
 勝つためには前に出るしかなかった。ライト級の準々決勝。玉城康平(沖縄水産)が立ち向かったのは、積極的な攻撃で勝ち上がってきた佐藤(東京・駿台学園)だ。「どんどん攻めてくるタイプだったので気持ちで押されないようにした」。手数で圧倒する相手に一歩も引かなかった。判定を聞くときは「少し怖かった」と言うが、レフェリーは玉城の手を高々と掲げた。
 試合開始のゴングが鳴ると、すぐに攻撃を仕掛けた。距離を保ちながら得意の右フックや左ストレートを当て、ロープ際にも追い込んだ。「絶対に負けたくない気持ちだった」と振り返る。事前にビデオで研究していた以上に「押しが強い」と感じたが、自らも前に出ることで圧力をはねのけた。
 2回に入ると、「カウンターを狙う癖が出てしまった」。1回で見せた積極性が薄れ、攻撃を受ける場面もあった。最終の3回を前にセコンドから「自分から攻めたら勝てる」と言われて、気合を入れ直した。「倒すつもりで自分から行こう」と左ストレートで押して勝利への道筋を切り開いた。
 準決勝で対戦する齋藤(宮崎・日章学園)は、「ガードが堅くて手数が多く、スピードもある完璧なボクシングをする」と警戒する。それでも目指している全国の頂点に向けて負けるつもりはない。「圧倒されずに自分の力を出す」と強敵の撃破を誓った。(平安太一)

空手男子個人形4回戦 気迫のニーパイポを見せる島袋佑哉(コザ)=1日、奈良県の宇陀市総合体育館(石井恭子撮影)
フライ級準々決勝 最終ラウンド、相手の顔面へジャブを浴びせる大湾硫斗(美来工科)=1日、兵庫県立総合体育館(普久原裕南撮影)
ライト級準々決勝 第1ラウンド、ロープ際に詰めて左ストレートを浴びせる玉城康平(沖縄水産)=1日、兵庫県立総合体育館(普久原裕南撮影)