福地(走り幅)川本(女子800m)V 九州中学校体育大会


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 2015年度九州中学体育大会は10日、県内で陸上競技、佐賀県でバスケットボールが行われた。陸上競技では、共通走り幅跳びで福地貴斗(石垣第二)が6メートル74で、女子1年800メートルで川本莉子(崎枝)が2分19秒31で優勝した。バスケットは北谷の男女が準決勝進出を決めた。

◆作戦変え窮地で大跳躍/福地
 5本目を終えた時点で、同大会男子走り幅跳びランキング1位の福地貴斗(石垣第二)は5位に甘んじていた。後がない中で迎えた最終6本目、今までばらついていた踏み切りがバチッと合い、自己ベストに並ぶ6メートル74センチの大跳躍で逆転優勝した。緊張が最高潮に達してから実力を発揮した福地は、安堵(あんど)と喜びを込めて両拳を握りしめた。
 1本目は6メートル39センチで2位につけ、順調な滑り出しに見えた。2本目以降は記録を狙って果敢に攻めたが、踏み切りが合わず2本目、4本目はファウル。他県の選手が好記録を出す中、順位は徐々に沈んだ。
 4本目を終え、スタンドで見ていた阿利義一監督は「調子はいいのに助走の歩幅が縮こまっている」と感じ、助走開始の位置を20センチ後方に下げるよう指示した。急な作戦変更だが、この判断が奏功した。
 助走位置を変えた直後の5本目は踏み切り手前で跳んでしまったものの、6本目は狙い通りの大跳躍。「メンタルは強い」と信じた阿利監督に、福地も気持ちで応えた。信頼関係があるからこそできた急な作戦変更だった。
 福地は「次は日本一を狙う。(県中学記録を超える)7メートル台も目指している」と、さらに上を見据えた。(稲福政俊)

◆終盤勝負で一気加速/新星川本中1県新
 1年女子800メートルで川本莉子(崎枝)が自らの女子中1県記録を更新する2分19秒31を出し、九州一に輝いた。4月の海邦国体記念記録会、6月の全日本中学校通信沖縄大会と、走るたびに記録を塗り替える新星は「イメージ通りの走りができた」と、あどけない笑顔を見せた。
 所属する陸上クラブ「石垣島アスリートクラブ」でコーチを務める父、光さんはレース前「1週目(400メートル)は最後でも焦るな。残り300メートルで3位か4位につけ、ラスト100メートルからスパートだ」と助言した。川本は父の言葉通り、序盤は後方でレースを展開。残り300メートルを切ると一気にトップに出て、ぐんぐん後続を引き離した。
 実力は日々の努力に裏付けされている。朝は5時に起きて40分走り、腹筋、背筋300回で体幹を鍛えている。その姿に「誰も見ていなくても、言ったことは必ず実行する」と、父も顧問も感心しきりだ。
 川本は「次はジュニアオリンピックの参加標準記録(2分18秒50)を達成して、全国中学陸上準決勝進出が目標」と、着実な一歩を見据える一方、夢は「東京五輪でメダル獲得」と大きく持つ。全校児童生徒数24人の小規模校からメダリスト誕生の期待が高まる。(稲福政俊)

男子走り幅跳び 最後の跳躍で6メートル74を記録し、優勝した福地貴斗=10日、県総合運動公園陸上競技場(屋嘉部長将撮影)
女子1年800メートル・決勝 最終コーナーで1位に躍り出る川本莉子(崎枝、ゼッケン803)