瓦割る17歳の歌姫・井上苑子 「ホンマは瓦4枚じゃない」


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井上苑子。「『私たちのハァハァ』は、これほんまに映画になるんかなってぐらい楽しい撮影で、ワンシーンが終わるたびに(共演の)4人で『ウェーイ!』って喜んでました」=東京都渋谷区

 17歳のシンガー・ソングライター井上苑子が、ミニアルバム『#17』(ジュウナナ)で7月にメジャーデビューし、目を見張る勢いでファンが増えている。小学6年でギターを始めてしばらくで作詞作曲し、間もなくで路上ライブを大阪・梅田駅前にて敢行、卒業式の日にはライブハウスで単独ライブを開いたという並外れた前進力の持ち主だ。

 “せつなかわいい”といわれる歌声だが、経歴の特技欄には「空手(黒帯)・・・」。気になってご本人に聞いてみた。

▽記者:特技がダンス、水泳、ピアノ、ギターとあるのは了解ですけど、その上、瓦を割れるというのが、もう何が何だか…。
▼井上:(笑)何でもやりたがりなんですよ私。いちばん多いときでお稽古ごとを10個習ってて。毎日何かがないとだめだし、空いてる時間さえもイヤで、昔はずっと。その中で空手が結構大好きで、週に2回真剣にやってたんです。
▽記者:瓦割りの動画、ネットで見ましたよ(※2013年のスマートフォンのCM)。涼しい顔で4枚割ってるじゃないですか。
▼井上:あれ、ホンマは10枚ぐらい割ってたんですよ。ちょっと悔しいんですよねぇ。
▽記者:もう何なんすか、負けず嫌いですねぇ。
▼井上:(爆笑)超負けず嫌い。あの時はカメラの位置とかが「ちょっとこの角度違うな」とかあるじゃないですか。それで私、1時間ぐらい割り続けてて(笑)。そんなに割ることもなかったから、だんだん手がはれてきて。
▽記者:(笑)じゃ、あれは10枚のやつを割りまくった後?
▼井上:割りまくった後なんですよ!
▽記者:いったいどんな拳をしてるんですか。もしケガしたらギターを弾くのが…。
▼井上:(ニコニコして右手の拳を見せて)大丈夫です。全然大丈夫です。
▽記者:めちゃめちゃツルツルきれいじゃないですか。
▼井上:習い事は、前は英語も3つ習ってて。
▽記者:へ?なぜ3つも?
▼井上:黒人の先生、白人の先生、日本人の先生って(笑)。それぞれ特長があって、遊び感覚とか、本を読みながらとか。今あんまり英語できないですけど。でも洋楽とかも歌ってて、発音とか「いいんじゃない?」って言っていただけることもあって。
▽記者:役に立っていると。
▼井上:ただまあ、空手をやっていたのに、(クラシック)バレエをやったりもして。
▽記者:は?
▼井上:そしたら空手の先生から「最近どうしたん?ヘニョヘニョになってきたで」って言われて(笑)。「あ、バレエ、習いだしたんですよね」「大丈夫?」みたいな感じになって、それでバレエをやめちゃったんですけど。もう何でもやりたい、私。

 以上のような具合で、井上苑子は前進力、歌唱力、会話力、周りを照らすほどの明るさも兼ね備え、話しているとこちらまで元気になる。現在の野望を尋ねると「武道館に立ちたいです」(←空手じゃなく歌で)と言うので、危うく「はいはい」と受け流しそうになった。そりゃ井上さんなら武道館ライブもそのうち果たすでしょと、ごくごく自然なことのように思えたからだ。(敬称略)
 (宮崎晃の『瀕死に効くエンタメ』第77回=共同通信記者)

※9月12日からは井上苑子主演の青春ロードムービー『私たちのハァハァ』(松居大悟監督)が全国公開。映画の中での弾き語り場面もとてもいいです。
(共同通信)