興南が8強、鳥羽に4-3 夏の甲子園、きょう関東第一戦 


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八回裏、決勝打を放つ砂川謙斗=16日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場

 第97回全国高校野球選手権大会第11日は16日、3回戦4試合を行い、県代表の興南は京都代表の鳥羽を4―3の逆転で破り、準々決勝に進出した。興南は17日の準々決勝第4試合(午後3時半開始予定)で東東京代表の関東第一とベスト4を懸けて戦う。

 興南は二回、6番佐久本一輝の中前適時打で先制。三回に逆転を許し、五回にも1点追加された。六回、佐久本の遊ゴロの間に1点を返した。七回、2番仲響生の左越え適時三塁打で3―3の同点に追い付くと八回、7番砂川謙斗の左前適時打で勝ち越した。先発・比屋根雅也は粘り強い投球で完投した。

◆砂川 気合の決勝打
 3―3の同点で迎えた八回興南1死三塁。打席に7番砂川謙斗が立った。並行カウントから真っすぐを捉えると左前に流し、勝ち越し。「仲間がつくってくれたチャンス。振り切ることしか考えてなかった」と笑顔がはじけた。
 逆転サヨナラ勝ちを収めた初戦の石見智翠館戦と同様、興南の粘り強さが随所に光った。試合は先制しながら逆転を許し、さらにリードを広げられる苦しい展開。走塁、守備、バントのミスも相次いだ。
 それでも「県大会から接戦をやってきた。チームとして『粘り勝とう』という意識がある」(砂川)と焦りはなかった。「出る、送る、かえす」という興南野球をコツコツ実践していった。
 1点差まで追い上げた七回、1死二、三塁で2番仲響生がスクイズを空振りし、三走が挟殺された。仲は「『やっちまったなー』と思った」。しかしその直後、低めの球を捉えると、前進守備の左翼手を越えて同点の適時三塁打。諦めない心で自らミスを挽回した。
 粘り強さは2010年に春夏連覇を達成した先輩たち譲りだ。しかし砂川は「監督から『春夏連覇は忘れて自分たちで新たな歴史を塗り替えろ』と言われている」という。これでベスト8。新たな“旋風”が甲子園に吹きつつある。(荒井良平)